
■タイムリーなリメイク版『ユートピア』
アマゾンプライムのオリジナルドラマ『ユートピア』(全8話)を観てみた。
本作のオリジナルは2013年にイギリスで放映されたドラマであり、当時は『セブン』で有名なデヴィッド・フィンチャー監督がハリウッドでリメイクすることになっていたが、お蔵入りになった曰く付きのドラマ。
しかし、なぜかこの度、同じくデヴィッド・フィンチャー監督作の『ゴーン・ガール』の脚本家として知られる女性ギリアン・フリンによってリメイクされる運びとなった。
イギリス版のドラマは、独特なタッチの色彩を用いた芸術的かつ過激なドラマであり、多くのファンを魅了した。
イギリス版は、シーズン2まで製作され、一応の完結をみたが、今回製作されたアメリカ版の方は、シーズン1のみで打ち切られることになった。
打ち切られた理由は不明だが、「人工ウイルス」と「人口削減」をテーマにした陰謀ドラマだったことが時期的にまずかったのかもしれない。
■陰謀ドラマを観ることによって得られるもの
イギリス版は国家の陰謀を描いたドラマだったが、アメリカ版は企業の陰謀を描いたものに変更されており、ストーリーも少し変更されていた。
主人公のジェシカ・ハイドが白人ではなく黒人系の女優に変更されているのはよいとしても、親が黒人で子供が白人とか、親が白人で子供が黒人とか、完全に遺伝子を無視した無茶なキャスティングは、最近のハリウッドにおける裏事情を垣間見た感じがして興醒めしてしまった。
それはさておき、このコロナ禍にあって、このドラマは驚くほどリアルに仕上がっている。フィクションと釘打たれているものの、あまりにも現実味のあるストーリーになっている。ドラマとしてはイギリス版の方に軍杯が上がるが、タイムリーさという意味では本作が圧倒的に勝っている。
人を疑うことを知らない純粋無垢な人は、こういった陰謀ドラマを観ることによって、違った視点を持つことの重要性を感じられるかもしれない。過激な描写等はあまりオススメできないドラマだが、いろんな意味での耐性を付けるには抜群に優れたドラマだと言える。コロナ禍に漠然とした疑問を抱いている人にとっては、衝撃のドラマとなるかもしれない。
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