2019年12月23日

「ネトウヨ」という空想の産物


■「右傾化」という言葉の勘違い

 ネット上では、よく「ネトウヨ」とか「右傾化」という言葉を耳(目)にする。
 私もたまに保守的なブログ記事を書くと「ネトウヨ」とか「ネトサポ」とか言われることがあるのだが、どうも釈然としないものがある。
 私自身、「ネトウヨ」などという認識はまるでなくて、ごくごく普通のことを書いているという感覚しか持っていないので、「ネトウヨ」などと言われると「えっ?」と思うことがある。それはちょうど、平均身長の人間に対して「チビ」だとか「ノッポ」と言われているような感覚かもしれない。

 「ネトウヨ」という言葉は、単純に「右翼的な」という意味になるのだろうけれど、現代の日本に右翼的な思想を持った人などほとんどいないのではないかと思う。反面、左翼的な思想を持った人なら、ごまんといる。

 日本の場合、戦前は自由主義、戦中は右翼全体主義、戦後は左翼全体主義と変遷してきたので、どうしても左翼的な思想を持った人が多くなる。それ以前にも、大正デモクラシーから昭和初期にかけては大不況の影響も手伝ってかマルクス主義が流行したこともあり、思想自体が全体的に左に寄り過ぎているきらいがある。

 実際、戦後間もない頃は、「左翼でなければ人間ではない」というような風潮があり、左翼であることが進歩的とされ、左翼であることが知識人としての必須条件というような時代が本当にあったことはよく知られている。

■本当のシーソーを知らない子供達

 それゆえに、現代でも多くの日本人の思想は左寄りのまんまであり、彼らが言うところの「右傾化」というのは、単に思想的なアンバランスさが解消されつつある現象に過ぎないのではないかと思う。つまりは、「左傾化」した地点から見た姿でしかないということである。

 「思想」と言葉が似ている「シーソー」を例にすれば、これまでずっと大きく左側に傾いていたシーソーが、少し持ち上がって水平に近付いている現象をとらえているに過ぎない。シーソーが水平に近付いている状態であることを「右傾化」とは言わない。
 「右傾化」とは、シーソーの右側が下がっている状態のことを意味する。こんなことは公園で遊んでいる子供にでも解ることである。
 目の前にあるシーソーの左側が持ち上がり水平に近付いていく姿を見て、誰が「右に寄った」などと言うだろうか? 普通の子供なら、「見ろ、シーソーが水平に近付いているぞ」と言うはずだ。

 左側のシーソーに乗っている子供達は、シーソーが右側に下がった状態を経験したことがない(=上からシーソーの全体像を眺めたことがない)ため、水平になることをもって「右傾化」と思っているのかもしれない。
 シーソーが水平になること、または水平に近付いていくことは、ごく自然な姿であり、どちらか一方に下がったまんまの方が不自然でアンバランスな姿だと言える。ずっと左側が下がっている状態しか経験していないため、シーソーとはそういうもの(=左に傾いているもの)だと思い込んでしまっているのである。

 日本には、戦争をしたいなどと思っているような人は滅多にいない。いるのは戦争を回避したいと思っている人間だけであり、その戦争を回避するためには「武器を備える」か、それとも「無防備でいる」かという違いがあるだけである。

 ところが現代の日本では、前者がネトウヨと揶揄され、後者が普通の人になるという傾向がある。ちょうど、アメリカで言うところの拳銃を持つか持たないかという議論に近いと言えるのかもしれない。

 世界の子供達はシーソーが右側にも傾くものであることを知っているが、日本の多くの子供達は知らない。シーソーが右側が傾くことに拒絶反応を示す子供達、それが多くの日本人の姿であり、世界の非常識と言われる所以でもある。

 なお、ここで述べた「子供達」というのは比喩であり、本当の子供を意味しない。(念のため)
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posted by 自由人 at 19:54 | Comment(0) | 思想
2019年06月23日

「反権力シンドローム」という病


■日本の反権力思想の正体

 香港における史上最大規模のデモが、世界中の人々から賞賛されている理由は、偏に、人権や自由を圧殺しようと目論む中国共産党に対する憤りからであることは言うまでもない。
 しかし、日本ではそうは思っていない人達もいるようで、香港デモと日本で報道されるデモを同列に扱っている人もいるようだ。
 図らずも今回の香港デモは、一部の日本人の反権力思想の正体をあぶり出すリトマス試験紙の役割を果たしてくれたようだ。

 これまで中共のスパイのように思われていたような人々の一部が、実は単なる反権力だけが目的だったということが判明した。これは、香港デモが齎した想定外の収穫だった。これは喜ぶべきことなのかもしれないが、ある意味では、実は非常に危険なことなのかもしれない。

■「反権力」が正義という病

 かつての学生運動は当時の若者の「ファッション」だったと言われることがある。思想的な中身は全く理解しないまま、ただその時代の空気に踊らされた若者という意味では「ファッション」というのは実に的を得た言葉だと言える。

 中国と日本の立場の違いを考えずに、ただ闇雲に香港デモを賞賛している人々は、ただ、国家権力を批判することさえできれば、それがどのような国家権力であろうと構わないという、言わば「反権力症候群(シンドローム)」というような状態にある。

 アメリカに生まれればトランプ大統領を批判し、中国に生まれれば習近平を批判し、日本に生まれれば安倍総理を批判する。その症状は、思想的に、右も左も関係なく、ただ、下(小)から上(大)に向かって「反権力」を叫ぶことが正義という病でもある。

 中国共産党は日本から見れば、思想的には「極左」に位置する。だから、左翼系のマスコミや言論人はシンパシーを感じて批判しないという思想的事情もあるわけだが、ただ、反権力だけが目的の人々には、そういった縛りが無いため、思想ではなく反権力デモにシンパシーを感じるということなのかもしれない。加えて、そのデモの良し悪しにも拘らない。暴れようが暴れまいが関係なく、ただ反権力という姿勢であればハイになるという病だ。

■思想を知らずに犯すデモの危険性

 しかし、ここで考えなければならないのは、「知って犯す罪」と「知らずに犯す罪」のどちらが性質(たち)が悪いかということである。
 思想を知った上で人を煽動する行為と、思想を知らずに人を煽動する行為のどちらが悪質か?
 普通に考えると、思想を知った上で人を煽動する方が、確信犯なので悪質と考える人が多いかもしれないが、実際のところは、思想を知らずに人を煽動する行為の方が悪質だと言える。

 なぜなら、そこには罪の意識が全く働かないからである。自らが正義と思い込み、罪を犯している意識が全く無いほど罪深いことはない。どんな悪人でも良心が芽生える可能性があるが、悪を行っているという自覚のない人には良心が芽生える余地がないからだ。解り易く言えば、間違いを認めようにも認められないということ。

 具体的な例で言えば、中国と日本の思想的違いを全く考えずに「平和憲法を変えると戦争になる」というようなことを絶対的な正義だと思い込んでいるような人は、自らが他人を戦争(占領)に巻き込む危険を犯していることにも気付かない。「憲法改正反対」と叫ぶことが、まるでファッションであるかのようにその時代を生きる。しかし、時が過ぎ、それ(占領)が現実になったとしても、自ら罪の意識を感じることはなく「あれは当時のファッションだった」と言うだけ。これを悪質と言わずして、一体何と言うのだろうか?

【追記】2019.6.23

(BLOGOS転載記事のコメントに対する返答になります)

>アメリカに生まれてトランプ大統領を批判し、
>日本に生まれて安倍総理を批判するような人の多くは、
>中国に生まれたら、
>中国共産党体制に恭順すると思いますよ??


 私もそう思いますが、当記事で述べているのは、記事の冒頭で「一部の日本人の反権力思想の正体」と書いた通り、あくまでも一部の反権力者についての考察です。「日本人の一部の反権力者」ではなく「反権力者の一部」という意味です。
 あなたが、

>「デモなら何でもいい人」というのも
>中には居るかもしれません。


と書かれていた通り、そういう人に限定した話でした。

>日本の左派が、
>香港のデモと、
>日本の反原発デモやアベ辞めろデモを一緒にするのは
>「区別がついてない」からではないと思いますよ?


 そういう人々がいるということも理解しているつもりですが、これもあなたが、

>中には「デモだから両方同じだ!」と言う
>頭がピュアすぎる人もいるでしょうが、


と書かれていた通り、そういう人に限定した話でした。
 あなたの言うところの反権力者は、私が述べた「思想を知った上で人を煽動する行為」をしている人に該当します。私が本記事で述べているのは主として「思想を知らずに人を煽動する行為」をしている人を指しています。

>「日本で安倍首相を批判すること」
>「アメリカでトランプ大統領を批判すること」と
>「中国で中国共産党体制を批判すること」は、
>「まったく意味が違う」のです。


 はい、その通りだと思います。少し誤解を招く書き方をしてしまったのかもしれません。

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posted by 自由人 at 08:34 | Comment(1) | 思想