2020年05月06日

新型コロナウイルスの常識破壊【持ち家信仰の復活】


■呆気なく衰退した「賃貸優位論」

 少し前まで、地震等の天災で自宅が損壊するようなことがあると、「家は賃貸に限る」と言われていた。不動産としての家を買うと、文字通り“動けなくなる”という意味でも賃貸の方が有利とする意見も聞かれた。
 先の見えない不安定な時代に自宅を購入して35年間もローンを組んで支払い続けるのはリスキーだという意見も多かった。

 しかし、新型コロナウイルス問題が生じると、「家賃が払えない」という意見があちらこちらで出てくるようになった。もちろん、その多くは住宅の家賃ではなく、店舗の家賃だが、毎月の決まった仕事と収入が有るという前提で成り立っていた賃貸優位論は呆気なく衰退してしまった。

■蓄えが無い(足りない)というリスクの顕在化

 しかし、ここで重要なことは、“家賃が支払えないこと”ではなく、“蓄えが無い(足りない)こと”だと言える。
 家賃にしてもローンにしても、ある程度の蓄え(ストック)があれば支払い続けることは可能となるが、生活費を除いた収入のほとんど全てを家賃やローンで支払い続ける返済モデルは極めてリスクが高いものであることが表面化してしまったということができると思う。

 こうなると、賃貸よりも持ち家が有利だとなるかもしれないが、先にも述べた通り、持ち家でもローンがあれば賃貸と変わらない。賃貸なら契約を解除して更に安い物件に引っ越すことも可能だが、持ち家の場合はそれができず、家が売れなければローンを支払い続けなければならない(できなければ自己破産)という意味で余計にリスクが高くなる。

 最もリスクが無くて安全なのは、ローンの支払いが発生しない持ち家、つまり、支払いが完了した持ち家となる。その場合でも固定資産税は支払う必要があるが、余程大きな土地でない限り、家賃ほど高額というわけではない。

■ゴーストタウンの新生

 「持ち家が簡単に手に入るわけがないじゃないか」と言う人もいるかもしれない。しかし、中古物件なら安価で販売されているケースもある。
 ゼロ金利やマイナス金利だということで、無理をして新築の家を購入して頭金も無しに35年間ものローンを組むよりも、短期ローンか一括で購入できる安価な中古住宅を購入した方が良い場合もある。

 ローンが無ければ、浮いた余剰資金を投資に回して、もう1つの収入源を得ることもできるかもしれない。
 「投資で儲かるかどうかなんて分からないじゃないか」と言う人がいるかもしれないが、その通り。しかし、それを言うなら「35年間もローンを支払い続けれるかどうか分からないじゃないか」とも思わなければいけない。

 一頃、ゴーストタウン化した住宅や空き家が多くなったと騒がれ、2030年には全体の30%が空き家になるという試算も発表されていたが、アフターコロナの世界では、そういう不要になっていた住宅が息を吹き返すようになるかもしれない。少しリフォームをして安価で売りに出せば購入したいという人は出てくると思う。

■新しい「持ち家信仰」の復活

 巣篭もりや自宅待機やテレワークが日常化すると、人の多い都心の狭い家よりも人の少ない郊外の広い家に住みたいと思う人も増えると思う。
 独り暮らしの人でも、これまでは、ほとんど自宅におらず外に出ているので、「ワンルームでも充分」というような人が多かったと思うが、1日中、ワンルームに閉じこもるというのは結構なストレスになるので、そういった“家は寝るだけの空間”という認識も改めざるを得なくなるかもしれない。

 いずれにしても、家賃を極力支払わずにストレスなく住める家が欲しいという人は増えていくだろう。
 あるいは、いっそのこと両親が住む家に出戻るというケースも増えるかもしれない。核家族化が問題になっていた日本社会が、昔のサザエさんスタイルに戻ることになるかもしれない。

 月々の収入という不安定なフローに頼った賃貸ではなく、ストックとしての持ち家が重宝される社会。そういう意味での「持ち家信仰」の復活であれば、決して悪いことではないのかもしれない。
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posted by 自由に考える人 at 09:03 | Comment(0) | ライフ
2020年04月23日

新型コロナウイルスの常識破壊【病院「憩いの場」の崩壊】


■「憩いの場」から「危険な場」へ

 日本の病院は、少し前まで老人達の憩いの場として、特に病気でもないような老人が、少し体調が優れないという理由だけで立ち寄るサロン的空間という常識が根付いていた。
 白亜の殿堂を思わせる清潔なイメージ、空調の行き届いた冷暖房完備の広々とした空間、低姿勢で愛想の良いナース達、ゆったりと寛げるソファーの座り心地に魅了された老人達にとっては、まさに病院はリラックスできる至れり尽くせりの安心空間でもあった。

 一方で欧米では、軽い風邪程度では病院には行かない人が多いと言われている。それは医療費が高いという理由も1つだが、風邪を治す特効薬は存在しないということを知っており、風邪の薬は睡眠しかないということも、経験上、大半の人が知っているからでもある。

 医療費が無料に近いことから、半福祉施設として老人の「憩いの場」と化していた日本の病院だったが、新型コロナウイルス騒ぎによって、その常識は幸か不幸か崩壊してしまったかに見える。

 現在では、ウイルス感染を恐れて自宅に引き蘢り、「頼まれても病院には行きたくない」という老人が大半を占めており、今や老人にとって病院は「危険な場」と化してしまった。

■「華やかな職場」から「命懸けの職場」へ

 同時に、医者や看護師にとっても病院は必ずしも居心地の良い空間ではなくなってしまった。某有名女優が主役を張るテレビドラマの影響もあって、女性が憧れる「華やかな職場」というイメージが定着化しつつあった病院が、今や患者の命だけでなく自分自身の命の心配もしなければいけない「命懸けの職場」と化してしまった。笑い事ではないが、「私、失敗しないので」とは言えても「私、感染しないので」とは言えないリスクのある職場となってしまった。

 現在の医療は医者と患者が密に接する「三密」の要件を満たしており、不幸にも「三密」を絶対悪とする現在の風潮がこのまま維持され続けるとなると、素手による触診というものもできなくなってしまう。指圧やマッサージすら手袋を付けて行わなければいけないということになりかねない。

 中でも、歯医者のような他人の口内に指を入れるという「三密」破りの極致のような診療は控える人が多く出てくるかもしれない。実際に、私の身近にも今まで定期的に通っていた歯の定期検診(歯石取り)を止めた人がいる。

 しかし、病院が「憩いの場」でなくなったことで、「あと5年で破綻する」と言われていた日本の医療保険制度は少し延命の方向に向かうかもしれない。
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posted by 自由に考える人 at 20:49 | Comment(0) | ライフ
2019年05月14日

アバウト過ぎる「エンジンオイルの交換時期」


■エンジンオイルは3,000km走行する度に交換?

 昔は、「車のエンジンオイルは3,000km走行する度に交換しなければならない」と言われていた。

 私自身、数年前までは最寄りのガソリンスタンドでエンジンオイルを交換してもらっていたが、先の言葉を信じて、真面目に3,000km、遅くとも4,000km走行するごとにエンジンオイルを交換していた(2回に1度は、オイルエレメントも交換)。
 しかし、そのガソリンスタンドの対応に少し疑問を抱くことがあったので、数年前からは某有名カー用品店でエンジンオイルを交換するようになった。

 その時に判ったことは、ガソリンスタンドのようにオイルの品質(高級オイルや標準オイル等)だけで分類されているのではなく、車種ごとに適合するエンジンオイルが分けられているということだった。
 カー用品店には適合オイル表というものが置かれてあるので、それを見て自分の車に対応しているオイルを選択し、自分でレジに持って行くといった具合(交換作業はネットで予約している)。
 ガソリンスタンドでは全てお任せだったので、当初は大きな違いだな…と思ったことを記憶している。

■正しいエンジンオイルの交換時期とは?

 さて、タイトルの「エンジンオイルの交換時期」の件だが、当時、ネットで調べてみると、車種によって交換時期が異なることが判った。走行する道路の状態(コンディション)によっても違ってくるらしいが、トヨタのホームページで確認してみると、現在でも次のように書かれている。

交換時期の目安

 ガソリン車(ターボ除く)…15,000km、または1年

   シビアコンディションの場合は、7,500km、または6ヶ月

 ガソリンターボ車…5,000km、または6ヶ月

   シビアコンディションの場合は、2,500km、または3ヶ月


 「シビアコンディション」というのは、消耗品の劣化は使用条件によって変わってくるというもので、悪路や坂道などの走行では劣化が早くなるという意味で特別に設けられた数値である。

 私の場合、トヨタのガソリン車に乗っており、主に普通の一般道路を走行しているだけなので、「シビアコンディション」には当て嵌まらないと思う。ということは、1回のオイル交換で15,000km走行できるということになる。

 そうなると、これまで「次回の交換目安+3,000km」というシールを貼っていたのは何だったのか?と思えてくる。現在でも「次回の交換目安+5,000km」というシールが貼られている。

 15,000km÷3,000km=5

 15,000km÷5,000km=3

 ガソリンスタンドでは通常の5倍、カー用品店でも通常の3倍も早い時期にオイル交換が勧められていることになる。
 エンジンオイルが汚れると燃費が少し悪くなるそうなので、最近は、保険も兼ねて、7,000〜8,000kmで交換するようにしているが、当然、何の問題も発生していない。そう考えると以前はエンジンオイルに2倍の費用をかけていたことになってしまう。早く交換するに越したことはないのかもしれないが、このアバウトな制度に、世間のドライバー達はどう対応しているのだろうか?
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posted by 自由に考える人 at 21:11 | Comment(3) | ライフ