2021年04月18日

転んでもただでは起きない「ahamo」


■「月額料金」以上の「サポート料金」

 ドコモの新スマホ料金プラン「ahamo」のテレビCMが流れ出し、先月(3月)からサービスが開始されたばかりだが、4月になって早々に店頭でのサポート料金追加の発表があった。

 私が以前に書いたブログ記事の予想通りの展開だが、1回のサポート料金は3300円(税込)であるらしく、4月22日からスタートするらしい。
 「スマホ使用料が安くなった」と喜んでいたような人にとっては梯子を外されたような気分かもしれない。

 オンラインのみでのサービス提供は、ある程度のITリテラシーが無いと、自己責任(事故責任)でメンテを行うのは少々難が有るので、この展開は多くの人が予想していたのではないかと思う。

 1回のサポート料金が、スマホの月額使用料よりも高いというのは御愛嬌だが、スマホ料金の大幅値引きという苦渋の選択を余儀無くされた政府に対するささやかな抵抗なのかもしれない。

 このサポート料金というのも、今後は他の大手キャリア(KDDI、ソフトバンク、楽天)も追随していくことになるのだろうと思われる。そしてこちらも政府の指導が有るかどうかに関係なく価格競争が始まり、3000円(税込)→2500円(税込)→2000円(税込)と、サービス料金が下がっていくのかもしれない。
 予め、料金が下がっていくことを見越した上での料金設定ということであれば、月額使用料以上に設定することは当然とも言えるだろうか。

■「20GBプラン」だけが話題になる不思議

 しかし、いつも不思議に思うのは、話題になっているのは全て「20GBプラン」だということ。テレビCMだけを観ていると「20GBプラン」が最安値という印象を抱いてしまいがちだが、ドコモを例にとっても、「1GBプラン」というものもあり、条件次第では「ahamo」よりも安い料金設定になっている。

 外出先で動画を頻繁に観るというならともかく、自宅のWifiでスマホを利用している分には、1ヶ月20GBも必要ないような気もする。私自身もスマホはほとんど自宅でしか使用しないので、1ヶ月1GBコースでも十分かな…と思う。

 多分、ITリテラシーの低い人というのは「1GB」というデータ容量がどれ位のものかということがピンとこないのではないかと思う。
 私の場合、インターネット以前からパソコン通信(従量制料金)をやっていたので、データの容量には敏感にならざるを得なかった経験があるため、1KB、1MB、1GBがどの程度のものかというのが肌感覚で分かってしまうが、ブロードバンド化した後にインターネットを始めたような人は、メールの添付ファイルのデータ容量など考えたこともないというような人も多いのかもしれない。

■スマホ料金の節約には「自助論」が必要

 これまで、少しスマホの調子が悪くなりトラブルが発生する度に、サブスクサービスを利用するかの如く携帯ショップに訪れていたような人は、今後、毎月1回、サポートを受けるだけで月額使用料が2倍以上になってしまい、場合によっては以前に支払っていた料金以上になってしまうことも有り得る。

 毎月のスマホ使用料を支払った上にサポート料金まで支払いたくないと思う人は、少なくとも自分自身が1日でどれ位のデータ量を使用するのかくらいは認識しておく必要があると思う。

 それ以前に、なんでもかんでも他人任せの姿勢を改めて、自分自身で行うことを是としなければ、本当のスマホ節約はできないと思う。

 政府のスマホ料金の値下げ指導は、消費者に「自助」の精神を促すという意図していなかった結果を齎すことになるかもしれない。

 「天は自ら助くる者を助く」と同様、「スマホ料金も自ら助くる者を助く」となる。



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posted by 自由人 at 08:42 | Comment(0) | 経済
2021年04月03日

日本経済全体にマイナスな「総額表示」


■商品価格の「総額表示」という善意の施策

 この4月1日から、商品価格の「総額表示」(税込表示)が義務付けられたため、店頭に並んでいる商品が一気に値上がりしてしまったかのような印象を受ける。これが消費者に与える影響は甚大で、一部、買い控えを招く可能性も否定できないため、ユニクロやジーユーは消費税分を値下げするという大きな賭けに出た。

 これまで「1990円」「2990円」「3990円」「4990円」…という具合に、ギリギリ大台前の価格設定にすることで、消費者に「安い」という印象を持ってもらうことに注力してきたショップが、いきなり税込表示を義務付けられると、これまでのイメージ戦略が台無しになってしまう。そういう意味で今回の法改正は販売者泣かせの政策だとも言えるが、消費者の買い控えを招くという意味では、日本経済全体にとってもマイナスの影響を与えかねない政策とも言える。

 「総額表示」は消費者にとって便利だと思えても、その善意の施策が、販売者だけでなく消費者にも実害を与えかねない。言わば、これも「地獄への道は善意で舗装されている」に成りかねないとも言える。

■商品値下げと円安のダブル効果で株価が下落

 しかし、なぜ今頃、このような法改正が行われたのだろうか?

 表向きは「税抜表示は消費者に紛らわしい印象を与えるので税込表示に変更した」ということになっているが、噂では、「消費増税のマイナスイメージを避けるため」というようなことも囁かれている。
 要するに、商品価格とは別に消費税がどれだけ上乗せされているかを消費者に考えさせないためということらしい。あくまでも噂話なので真偽のほどは分からないが、今後の消費増税の伏線なのだとすれば、「やれやれ…」と言いたくもなる。

 ユニクロはいきなり9%も値引きすることになったため、当然、売上もその分だけ下がることになる。おまけに、悪いことは重なるもので、現在は円安に振れている。この3ヶ月間で8円も円安に振れてしまったため、さらに悪影響を被ることになる。

 ユニクロを運営するファーストリテイリング(9983)の株価は、3月2日には110,500円の最高値を付けた後、徐々に下がり始め、3月25日には82,570円まで下落した。元々、騰がり過ぎていたとはいえ、わずか1ヶ月足らずで25%も下がったことになる。

 ファーストリテイリングの株は分割でもしてくれない限り高過ぎて買えないが、今後、更に円安が進むと、更なる株価下落も有り得る。

 商品価格が9%ダウンし、円安でも9%ダウンと考えると、計18%程度の下落は織り込み済みといったところだろうか。
 110,500円×82%=90,610円ということになるので、現在の株価(90,470円)は妥当なところなのかもしれない。

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posted by 自由人 at 09:48 | Comment(1) | 経済
2021年03月20日

ブックオフの「株主優待券」が無くならない理由


■ブックオフの「株主優待券」制度

 最近の株式市場は、実際の景気とは裏腹に活況を呈しているせいか、多くの人々が株式市場に新規参入していると伝えられている。今年は3月29日に「株主権利確定日」を迎えるため、初めての配当金狙いや株主優待狙いの買いも、いつも以上に入ってきているようだ。

 1日の株価の値動きが配当金以上になる株式を、わざわざ「株主権利確定日」まで我慢して持っていられるような腰の座った個人株主がどれだけいるのかは定かではないが、世の中には「配当金」だけでなく「株主優待券」をゲットすることを生き甲斐にしているような人もいる。

 企業が赤字になっても配当金が必ずしも支払われなくなるわけではないが、決算内容によっては配当金は増減する。

 では、「株主優待券」はどうだろうか?

 例えば、私の場合、ブックオフの株主なので、毎年、優待券(お買物券)が送られてくる。いつの間にか株主優待券の確定日が3月末ではなく5月末に変更されたみたいだが、株主優待制度としては以下のようになっている。

BOOKOFFyuutai.png

【参照サイト】BOOKOFF株主・投資家情報
 
■「株主優待券」を配って得する理由(わけ)

 私は複数株保有しているが、1株主の場合は、2000円分のお買物券が送られてくる。
 企業経営が悪化すると、配当金が減少したり、無くなったりすることがあるが、ブックオフの場合も配当金は減少しているが、優待券が無くなったことは無い。

 経営状況があまり芳しくない企業が優待券を出し続けるのは会社にとって負担になるのでは?と思う人がいるかもしれないが、優待券は額面通りの現金を配っているわけではないので、多分、どれだけ経営が悪化したとしても無くなることはないと思う。そういう意味では、株主にとっては絶対的に保証された配当金とも言える。

 その他の企業と同様に、お買物券の本質は“原価で商品が買える”という代物だと言える。ブックオフの場合、「販売されている商品価格ではなく、仕入れた原価でお買い物ができますよ」と考えると解りやすい。

 例えば、200円で販売されている本を仕入れた金額が10円の場合、お買い物券を持った株主に対しては仕入れ値の10円で本を販売しているというイメージになる。ゆえに、実質的に2000円のマイナスになるわけではなく、100円程度のマイナスで済む計算になる。(あくまでも、このケースの場合)

 それに、お買い物券をもらった限りは、必ず全て使用することになるので、売れ残った本を売るチャンスでもあり、10円で仕入れた本が200円で売れれば、190円のプラスになる。

 「仕入れ値の合計金額」と「優待券販売による利益」を比較すると、新刊ばかり買う人でない限り、大抵は後者の方が高くなるので、結局、優待券を配った方がプラスになる可能性の方が高くなる。だから、仮に赤字経営になっても優待券は無くならない。

(追記)一部、記事中に誤解がありましたので、訂正しました。

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posted by 自由人 at 10:29 | Comment(2) | 経済
2021年02月19日

「失われた30年デフレ」に終止符を打つ奇策


■雇用調整助成金のリハビリ期間は長期で考えるべき

 政府はコロナ特別雇用調整助成金を4月まで続けることを発表していたが、5月から6月にかけて特例措置を段階的に縮小していき、7月からは更に縮小すると発表している。

 段階的に支給率を引き下げていくことには賛成するが、その期間があまりにも短過ぎるのではないかと思える。
 足掛け1年以上もの間、雇用調整助成金に頼ってきた多くの企業が、元の状態に戻るためには、それなりのリハビリ期間が必要であり、その期間は数ヶ月間という短い期間ではなく、できれば数年間単位にすることが望ましい。

 これだけ激変してしまった企業を取り巻く経済状況を、たった数ヶ月間で1年前のコロナ発生前に戻すようなことは至難の業であり、あまりにも現実味に欠けた発想だと言える。この辺にも、現政府の経済センスの無さが垣間見える。
 ここで言う「経済センスの無さ」とは、一言で言えば、「世情に疎い」ことを意味する。

 ここで、「国は数年間も補助金を出す余裕が無い」と思った人がいるかもしれないが、補助金は税収で賄うわけではないので心配する必要は無い。

 こう言うと、「将来世代に借金を背負わすことになる」と思った人もいるかもしれないが、それも誤解であり、子孫が借金を背負う必要など無い。

 さらに、「現役世代で賄うなら消費税を上げなければいけなくなる」と思った人もいるかもしれないが、そんな必要は微塵も無い。

■1年間で100兆円ずつ、1000兆円の国富増加策

 政府が、いきなり1000兆円も大盤振る舞いして財政出動するとインフレになる危険性があるが、1年間で100兆円ずつを10年間続ける程度なら、おそらくインフレにはならない。
 仮にインフレになったとしても、せいぜい1%や2%程度だろうから、全く問題がない。
 それでも、政府が長年目標にしてきたインフレ率2%に達するだけのことなので、むしろ喜ぶべきことだとも言える。

 万が一、インフレ率が3%以上になった場合は、MMTの言う通り、増税すればいいだけ。増税とはインフレを退治するための経済政策である。

 よく「インフレになった場合、政府は簡単に増税できるのか?」というトンチンカンな発言をしている人がいるが、デフレ下で掟破りの増税を行う政府が、なぜインフレ下で増税できないと思えるのか理解に苦しむ。

 特に日本の場合、これまで緊縮財政まっしぐらでお金が足りない状態が続き、あっぷあっぷしながらやってきたため、マイナスの貯金が貯まっているような状態だとも言えるので、他国以上にお金を増やす余地が有る。10年間で1000兆円の国富を増やして挽回し、景気を良くするチャンスだとも言える。

 こう言うと、「政府は金融緩和をし続けてきたが景気は良くならなかったのでは?」と思った人がいるかもしれないが、それには理由がある。

 そのお金の大部分は市場に出ておらず、日本銀行内にブタ積みされているだけなので、ほとんど意味を為していない。金融政策だけで景気が良くなるというリフレ派の間違いは、この部分を理解していないことにある。
 リフレ派は名誉挽回するためにも、この機会にこっそりと金融政策から財政政策に舵を切り替えるべきだと思う。

 景気を良くするチャンスが目の前にあるというのに、そのチャンスに気付かず、実行することもできず、無為無策を決め込み、その上、更に無意味な増税を行うというのであれば、あまりに愚かであり度し難い。

 経済センスの有る政治家であれば、このコロナ禍を逆手に取って、30年デフレに終止符を打つことができるかもしれない。

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posted by 自由人 at 23:50 | Comment(0) | 経済
2021年02月13日

「オンキョー」の危機的な赤字決算


■オンキョー上場廃止の可能性

 楽天(4755)が過去最大の1141億円の赤字を発表した。スマホ関連の巨額の先行投資が重しになっての赤字決算なので、これは予想通りの結果であり特に驚く内容でもないのだが、その影に隠れてオンキョーホームエンターテイメント(6628)が33億円の赤字決算を発表し、上場廃止が危惧されている。

 少し個人的なことを書かせていただくと、実は私はこの両社の株主でもある。センスが無いと言われそうだが、オンキョーの場合は、昔、オンキョーに買収される前のソーテックの株を遊びで購入してしまったのがキッカケで売れずに放っておいたのが災いして大きな含み損を抱えたままだった。一時、アップルと提携して株価が跳ね上がったものの、その後は下がっていく一方だった。
 昨年の時点で、さすがにこれは持っていても望みは無い(ヘタをすれば上場廃止・経営破綻)と判断して税金対策も兼ねて損切りしたという経緯がある。

 昔は、オンキョーのスピーカーと言えば高音質で有名で、個人的にも愛用していたものの、アップルのiPodが出てからは全く使用しなくなった。以前にもブログ記事で紹介させていただいたが、現在では安価なパソコン用スピーカーやBluetoothスピーカーが数多く販売されている(以下のスピーカーがオススメ)ので、もはや従来のステレオコンポ用の大型スピーカーは、音響マニアでもない限り無用の長物になってしまった。



■“高音質”よりも“臨場感”を追求するべき

 オンキョーは以前、ソーテックを買収して“パソコンに高音質スピーカー”というコンセプトで売り出していたが、あまり需要が無かった。その後、非圧縮高音質のハイレゾミュージックに着手したが、これも思ったほどの需要は見込めなかったのではないかと思う。実際に、私個人もオンキョーの株主優待でハイレゾ音源のミュージックをいくつかダウンロードしてみたが、データが重くて扱いづらいという理由もあって1度も聴いていない。

 テレビと同様、多くの消費者は高いお金を支払ってまで、高画質・高音質には拘っておらず、それなりの映像・音質で満足している場合が多い。4Kテレビは確かに奇麗だが、高価な8Kテレビまで欲しいというような人はほとんどいないと思う。

 レンタルDVD店に行っても、未だにブルーレイソフトよりも普通のDVDソフトの方が圧倒的に多い。ソフトを再生するハード(DVDプレーヤーとブルーレイプレーヤー)の値段がほとんど変わらなくなってもこれなのだから、消費者はそれほど高画質を求めておらず、多少、画質が悪くても観れればよいという感覚なのかもしれない。購入してコレクションにするようなマニアは別として、世間一般の消費者は、その点はあまり執着心がなく、極めて刹那的な感覚なのだろう。

 音楽を聴くにしても、素人耳には上述した数千円程度のBluetoothスピーカーでも必要十分な高音質が堪能できるので、数万円、数十万円を出してまで、それ以上の高音質を望む人はほとんどいないのではないだろうか。

 映像がVR(仮想現実)になったように、音楽も、これからは“高音質”を追求するよりも、多少、音が悪くなろうが、その場にいるような“臨場感”のあるVR音(既にそういった技術は存在しているが)を追究していく方が需要が見込めるかもしれない。

【関連記事】「BOSE閉店」様変わりしたスピーカー業界
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posted by 自由人 at 10:51 | Comment(2) | 経済