2021年04月03日

日本経済全体にマイナスな「総額表示」


■商品価格の「総額表示」という善意の施策

 この4月1日から、商品価格の「総額表示」(税込表示)が義務付けられたため、店頭に並んでいる商品が一気に値上がりしてしまったかのような印象を受ける。これが消費者に与える影響は甚大で、一部、買い控えを招く可能性も否定できないため、ユニクロやジーユーは消費税分を値下げするという大きな賭けに出た。

 これまで「1990円」「2990円」「3990円」「4990円」…という具合に、ギリギリ大台前の価格設定にすることで、消費者に「安い」という印象を持ってもらうことに注力してきたショップが、いきなり税込表示を義務付けられると、これまでのイメージ戦略が台無しになってしまう。そういう意味で今回の法改正は販売者泣かせの政策だとも言えるが、消費者の買い控えを招くという意味では、日本経済全体にとってもマイナスの影響を与えかねない政策とも言える。

 「総額表示」は消費者にとって便利だと思えても、その善意の施策が、販売者だけでなく消費者にも実害を与えかねない。言わば、これも「地獄への道は善意で舗装されている」に成りかねないとも言える。

■商品値下げと円安のダブル効果で株価が下落

 しかし、なぜ今頃、このような法改正が行われたのだろうか?

 表向きは「税抜表示は消費者に紛らわしい印象を与えるので税込表示に変更した」ということになっているが、噂では、「消費増税のマイナスイメージを避けるため」というようなことも囁かれている。
 要するに、商品価格とは別に消費税がどれだけ上乗せされているかを消費者に考えさせないためということらしい。あくまでも噂話なので真偽のほどは分からないが、今後の消費増税の伏線なのだとすれば、「やれやれ…」と言いたくもなる。

 ユニクロはいきなり9%も値引きすることになったため、当然、売上もその分だけ下がることになる。おまけに、悪いことは重なるもので、現在は円安に振れている。この3ヶ月間で8円も円安に振れてしまったため、さらに悪影響を被ることになる。

 ユニクロを運営するファーストリテイリング(9983)の株価は、3月2日には110,500円の最高値を付けた後、徐々に下がり始め、3月25日には82,570円まで下落した。元々、騰がり過ぎていたとはいえ、わずか1ヶ月足らずで25%も下がったことになる。

 ファーストリテイリングの株は分割でもしてくれない限り高過ぎて買えないが、今後、更に円安が進むと、更なる株価下落も有り得る。

 商品価格が9%ダウンし、円安でも9%ダウンと考えると、計18%程度の下落は織り込み済みといったところだろうか。
 110,500円×82%=90,610円ということになるので、現在の株価(90,470円)は妥当なところなのかもしれない。

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posted by 自由人 at 09:48 | Comment(1) | 経済
2021年03月20日

ブックオフの「株主優待券」が無くならない理由


■ブックオフの「株主優待券」制度

 最近の株式市場は、実際の景気とは裏腹に活況を呈しているせいか、多くの人々が株式市場に新規参入していると伝えられている。今年は3月29日に「株主権利確定日」を迎えるため、初めての配当金狙いや株主優待狙いの買いも、いつも以上に入ってきているようだ。

 1日の株価の値動きが配当金以上になる株式を、わざわざ「株主権利確定日」まで我慢して持っていられるような腰の座った個人株主がどれだけいるのかは定かではないが、世の中には「配当金」だけでなく「株主優待券」をゲットすることを生き甲斐にしているような人もいる。

 企業が赤字になっても配当金が必ずしも支払われなくなるわけではないが、決算内容によっては配当金は増減する。

 では、「株主優待券」はどうだろうか?

 例えば、私の場合、ブックオフの株主なので、毎年、優待券(お買物券)が送られてくる。いつの間にか株主優待券の確定日が3月末ではなく5月末に変更されたみたいだが、株主優待制度としては以下のようになっている。

BOOKOFFyuutai.png

【参照サイト】BOOKOFF株主・投資家情報
 
■「株主優待券」を配って得する理由(わけ)

 私は複数株保有しているが、1株主の場合は、2000円分のお買物券が送られてくる。
 企業経営が悪化すると、配当金が減少したり、無くなったりすることがあるが、ブックオフの場合も配当金は減少しているが、優待券が無くなったことは無い。

 経営状況があまり芳しくない企業が優待券を出し続けるのは会社にとって負担になるのでは?と思う人がいるかもしれないが、優待券は額面通りの現金を配っているわけではないので、多分、どれだけ経営が悪化したとしても無くなることはないと思う。そういう意味では、株主にとっては絶対的に保証された配当金とも言える。

 その他の企業と同様に、お買物券の本質は“原価で商品が買える”という代物だと言える。ブックオフの場合、「販売されている商品価格ではなく、仕入れた原価でお買い物ができますよ」と考えると解りやすい。

 例えば、200円で販売されている本を仕入れた金額が10円の場合、お買い物券を持った株主に対しては仕入れ値の10円で本を販売しているというイメージになる。ゆえに、実質的に2000円のマイナスになるわけではなく、100円程度のマイナスで済む計算になる。(あくまでも、このケースの場合)

 それに、お買い物券をもらった限りは、必ず全て使用することになるので、売れ残った本を売るチャンスでもあり、10円で仕入れた本が200円で売れれば、190円のプラスになる。

 「仕入れ値の合計金額」と「優待券販売による利益」を比較すると、新刊ばかり買う人でない限り、大抵は後者の方が高くなるので、結局、優待券を配った方がプラスになる可能性の方が高くなる。だから、仮に赤字経営になっても優待券は無くならない。

(追記)一部、記事中に誤解がありましたので、訂正しました。

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posted by 自由人 at 10:29 | Comment(2) | 経済
2021年02月19日

「失われた30年デフレ」に終止符を打つ奇策


■雇用調整助成金のリハビリ期間は長期で考えるべき

 政府はコロナ特別雇用調整助成金を4月まで続けることを発表していたが、5月から6月にかけて特例措置を段階的に縮小していき、7月からは更に縮小すると発表している。

 段階的に支給率を引き下げていくことには賛成するが、その期間があまりにも短過ぎるのではないかと思える。
 足掛け1年以上もの間、雇用調整助成金に頼ってきた多くの企業が、元の状態に戻るためには、それなりのリハビリ期間が必要であり、その期間は数ヶ月間という短い期間ではなく、できれば数年間単位にすることが望ましい。

 これだけ激変してしまった企業を取り巻く経済状況を、たった数ヶ月間で1年前のコロナ発生前に戻すようなことは至難の業であり、あまりにも現実味に欠けた発想だと言える。この辺にも、現政府の経済センスの無さが垣間見える。
 ここで言う「経済センスの無さ」とは、一言で言えば、「世情に疎い」ことを意味する。

 ここで、「国は数年間も補助金を出す余裕が無い」と思った人がいるかもしれないが、補助金は税収で賄うわけではないので心配する必要は無い。

 こう言うと、「将来世代に借金を背負わすことになる」と思った人もいるかもしれないが、それも誤解であり、子孫が借金を背負う必要など無い。

 さらに、「現役世代で賄うなら消費税を上げなければいけなくなる」と思った人もいるかもしれないが、そんな必要は微塵も無い。

■1年間で100兆円ずつ、1000兆円の国富増加策

 政府が、いきなり1000兆円も大盤振る舞いして財政出動するとインフレになる危険性があるが、1年間で100兆円ずつを10年間続ける程度なら、おそらくインフレにはならない。
 仮にインフレになったとしても、せいぜい1%や2%程度だろうから、全く問題がない。
 それでも、政府が長年目標にしてきたインフレ率2%に達するだけのことなので、むしろ喜ぶべきことだとも言える。

 万が一、インフレ率が3%以上になった場合は、MMTの言う通り、増税すればいいだけ。増税とはインフレを退治するための経済政策である。

 よく「インフレになった場合、政府は簡単に増税できるのか?」というトンチンカンな発言をしている人がいるが、デフレ下で掟破りの増税を行う政府が、なぜインフレ下で増税できないと思えるのか理解に苦しむ。

 特に日本の場合、これまで緊縮財政まっしぐらでお金が足りない状態が続き、あっぷあっぷしながらやってきたため、マイナスの貯金が貯まっているような状態だとも言えるので、他国以上にお金を増やす余地が有る。10年間で1000兆円の国富を増やして挽回し、景気を良くするチャンスだとも言える。

 こう言うと、「政府は金融緩和をし続けてきたが景気は良くならなかったのでは?」と思った人がいるかもしれないが、それには理由がある。

 そのお金の大部分は市場に出ておらず、日本銀行内にブタ積みされているだけなので、ほとんど意味を為していない。金融政策だけで景気が良くなるというリフレ派の間違いは、この部分を理解していないことにある。
 リフレ派は名誉挽回するためにも、この機会にこっそりと金融政策から財政政策に舵を切り替えるべきだと思う。

 景気を良くするチャンスが目の前にあるというのに、そのチャンスに気付かず、実行することもできず、無為無策を決め込み、その上、更に無意味な増税を行うというのであれば、あまりに愚かであり度し難い。

 経済センスの有る政治家であれば、このコロナ禍を逆手に取って、30年デフレに終止符を打つことができるかもしれない。

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posted by 自由人 at 23:50 | Comment(0) | 経済
2021年02月13日

「オンキョー」の危機的な赤字決算


■オンキョー上場廃止の可能性

 楽天(4755)が過去最大の1141億円の赤字を発表した。スマホ関連の巨額の先行投資が重しになっての赤字決算なので、これは予想通りの結果であり特に驚く内容でもないのだが、その影に隠れてオンキョーホームエンターテイメント(6628)が33億円の赤字決算を発表し、上場廃止が危惧されている。

 少し個人的なことを書かせていただくと、実は私はこの両社の株主でもある。センスが無いと言われそうだが、オンキョーの場合は、昔、オンキョーに買収される前のソーテックの株を遊びで購入してしまったのがキッカケで売れずに放っておいたのが災いして大きな含み損を抱えたままだった。一時、アップルと提携して株価が跳ね上がったものの、その後は下がっていく一方だった。
 昨年の時点で、さすがにこれは持っていても望みは無い(ヘタをすれば上場廃止・経営破綻)と判断して税金対策も兼ねて損切りしたという経緯がある。

 昔は、オンキョーのスピーカーと言えば高音質で有名で、個人的にも愛用していたものの、アップルのiPodが出てからは全く使用しなくなった。以前にもブログ記事で紹介させていただいたが、現在では安価なパソコン用スピーカーやBluetoothスピーカーが数多く販売されている(以下のスピーカーがオススメ)ので、もはや従来のステレオコンポ用の大型スピーカーは、音響マニアでもない限り無用の長物になってしまった。



■“高音質”よりも“臨場感”を追求するべき

 オンキョーは以前、ソーテックを買収して“パソコンに高音質スピーカー”というコンセプトで売り出していたが、あまり需要が無かった。その後、非圧縮高音質のハイレゾミュージックに着手したが、これも思ったほどの需要は見込めなかったのではないかと思う。実際に、私個人もオンキョーの株主優待でハイレゾ音源のミュージックをいくつかダウンロードしてみたが、データが重くて扱いづらいという理由もあって1度も聴いていない。

 テレビと同様、多くの消費者は高いお金を支払ってまで、高画質・高音質には拘っておらず、それなりの映像・音質で満足している場合が多い。4Kテレビは確かに奇麗だが、高価な8Kテレビまで欲しいというような人はほとんどいないと思う。

 レンタルDVD店に行っても、未だにブルーレイソフトよりも普通のDVDソフトの方が圧倒的に多い。ソフトを再生するハード(DVDプレーヤーとブルーレイプレーヤー)の値段がほとんど変わらなくなってもこれなのだから、消費者はそれほど高画質を求めておらず、多少、画質が悪くても観れればよいという感覚なのかもしれない。購入してコレクションにするようなマニアは別として、世間一般の消費者は、その点はあまり執着心がなく、極めて刹那的な感覚なのだろう。

 音楽を聴くにしても、素人耳には上述した数千円程度のBluetoothスピーカーでも必要十分な高音質が堪能できるので、数万円、数十万円を出してまで、それ以上の高音質を望む人はほとんどいないのではないだろうか。

 映像がVR(仮想現実)になったように、音楽も、これからは“高音質”を追求するよりも、多少、音が悪くなろうが、その場にいるような“臨場感”のあるVR音(既にそういった技術は存在しているが)を追究していく方が需要が見込めるかもしれない。

【関連記事】「BOSE閉店」様変わりしたスピーカー業界
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posted by 自由人 at 10:51 | Comment(2) | 経済
2021年02月05日

「50年実質ゼロ」の意味するところ


■2050年までに全ての車を「電気自動車」にする危険性

 政府は2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする方針「50年実質ゼロ」を目標に掲げており、2030年代半ば(15年後)には、ガソリン専用車は製造・販売できなくなるとも言われている。

 それでも、ハイブリッド車については製造・販売が継続されるらしいが、ハイブリッド車にしても電気自動車にしても二酸化炭素は排出されるものなので、温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることは不可能だと思われるのだが、なぜ政府はこんな無茶な政策目標を国民に何の説明もなく勝手に決めてしまうのだろうか?

 国民を代表する形でトヨタ自動車の豊田章男氏も、こういった政府の強引な方針に苦言を呈しており、このままでは「自動車業界のビジネスモデルが崩壊してしまう」と憤りを隠さない姿勢を露にしている。

 「ガソリン車」を全て「電気自動車」に変えると言われても、ピンと来ない人がいるかもしれないので、言葉を置き換えてみると、次のようになる。

 2050年までに「石油ストーブ」を全て「電気ストーブ」に置き換える。

 さて、これは何を意味するのだろうか?

■エネルギー源を「電気」のみに頼る危険性

 日本では、夏になると冷房機器を使用し、冬になると暖房機器を使用する。冬場は、エアコン、ガスストーブ、石油ストーブ、電気ストーブ等、エネルギー源の違う様々な暖房機器を選択できるが、夏場は基本的にエアコンか扇風機しか選択肢が無い。
 そのため日本では夏場に限って電力量が上限に達して電力不足となり、節電しなければならないという事態が発生する場合がある。その原因は単純で、エネルギー源を“電気”にしか頼れないからである。

 一昔前に流行った「オール電化住宅」というのも、一見、便利そうに見えても、電気が使用できなくなれば生活できなくなるという問題が表面化し、1つのエネルギー源に頼ることのリスクというものが見直された経緯がある。

 全ての車を電気自動車にするのであれば、エネルギー源を電気にしか依存できなくなるので、政府は途切れることのない十分な電力量の確保というものを真っ先に考えなければならない。現在の火力発電だけでは十分な電力量を調達できないので、原発に頼るしかなくなる。それもただ、現在の原発をフル稼働するだけに留まらず、新たに原発を何基も新設しなければカバーできないとも言われている。

 そういった思惑も働いているせいか、東京電力株(9501)は、今年に入ってから鰻上りに上昇しているが、なぜか政府からは「原発」という言葉は全く出てこない。全て電気自動車にするという意気込みを伝えるのみで、原発稼働については全く触れていない。政府は、原発に代わる代替エネルギー(フリーエネルギーのようなもの)が手に入る目算でもあるのだろうか?と疑いたくもなる。

■理想を追い求めるあまり、現実を無視する危険性

 もし、代替エネルギーも無く、原発も稼働・新設する気も無いのに、「50年実質ゼロ」を目標に掲げているとなると、日本経済が向かう先は奈落の底になってしまう。豊田章男氏の「自動車業界のビジネスモデルが崩壊してしまう」以前に、日本経済が崩壊してしまう危険性がある。

 必要なインフラの整備もままならない状態で、どれだけ立派な目標を掲げても、掛け声だけで終わってしまう。この点は、政府が進めているデジタル化にしても同じことが言える。

 ITビジネスアナリストの深田萌絵氏も自身のYouTube動画で述べておられるが、政府のデータセキュリティが脆弱な状態でデータをデジタル化しても、そのデータを盗まれる可能性が高くなるだけだ。

 電気自動車を推し進めるのであれば、大量の電気を賄う電力インフラが必要であり、政府データのデジタル化を推し進めるのであれば、データを強力に保護するセキュリティシステムが必要になる。政府はまず、そういった基本インフラシステムの構築をこそ目標に掲げるべきであり、結果としての理想だけを目標に掲げるのは現実的とは言えない。

 エコな電気自動車ばかりが走行している未来の風景を思い浮かべるのも、デジタルデータ化で便利になった社会を思い浮かべるのも自由だが、その目的を達成するために必要不可欠な課題から目を背けていては、その未来像は決して明るいものにはならない。

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posted by 自由人 at 23:55 | Comment(0) | 経済