2020年10月03日

携帯電話会社の「価格競争」は更なるデフレ化を招く


■携帯電話会社の「苦肉の策」は功を奏するか?

 菅総理が鳴り物入りで打ち出した携帯料金の値下げを巡って、NTTはドコモを子会社化することになり、KDDIはUQmobileを統合することになった。

 両社共に、単に携帯電話料金を値下げするためだけに子会社化や統合を行ったわけではないと伝えられているが、タイミング的に考えても全く意図していないというわけではないのだろう。

 あくまでも想像の域を出ない憶測だが、KDDIはUQmobileを統合すれば、格安スマホの料金システムをそのままauの料金体系に組み込むことができ、安価なコースが提供可能になる。一方で、NTTはNTTコミュニケーションズの格安スマホサービスを使用するためにドコモをNTTに吸収する必要があったのかもしれない。

 いずれにしても、今後は料金体系が大きく分かれて、「安く利用したい人は、格安スマホ的なサービスを利用してください」ということになるのではないだろうか。
 格安スマホを利用するためには、それなりの基礎知識も必要になってくるので、「自分で勉強するのが嫌なら高額なコースを利用するようにしてください」ということになりそうだ。

(携帯ショップの窓口にて)

 ユーザー「スマホの調子が悪いので、見てもらえませんか?」

 サポート「いや、お客様は低額コースをご利用されていますので、メンテナンス
      サポート料金が別にかかりますが、それでもよろしいでしょうか?」

 ユーザー「料金はどれ位かかるんですか?」

 サポート「いや、スマホを確認してみないと何とも言えませんが、数千円から、
      場合によっては数万円かかる場合もございます」

 ユーザー「今まではそんな料金はかからなかったじゃないですか…」

 サポート「いや、それは料金に含まれておりましたので…」

 ユーザー「…じゃあ仕方ないか・・・これお願いします」
        ・
        ・
      (2時間後)
        ・
        ・
 サポート「お客様、お待たせしました。料金は2万円になります」

 ユーザー「えっ、そんなにかかるの?!」

 こんな姿が目に浮かびそうだ。

■政府が強いるべきは「価格競争」ではなく「技術競争」

 携帯料金には「基本料金」と「利用料金」の2つがあるが、菅総理が言っている値下げは、どちらが対象になっているのだろうか? テレビで伝えられている話を聞く限りでは、基本料金を値下げするということになっているみたいだが、電波利用料金を言い出すなら、基本料金よりも利用料金を下げるべきではないかと思う。

 通話時間やデータ量に応じて料金が細分化されている格安スマホの料金体系をそのまま適用すれば、大部分の人にとっては実質的な値下げになるのではないかと思う。ライトユーザーもヘビーユーザーも同じように安くしろと言うのは無茶であり、公平な制度とは言えない。

 しかし、この超デフレ社会で、政府が携帯電話料金を下げるというミクロ経済政策を断行したとしても、携帯電話会社に入っていた利益をユーザーが分捕るというだけのゼロサム政策にしかならないので、経済は成長せず、むしろシュリンクするかもしれない。

 現在のような超デフレ社会では、政府が新しい通信規格(5G)システムに必要なインフラ設備を全て提供して、その上で各携帯会社に価格競争ではなく、技術競争していただいた方が良いのではないかと思われる。

 インフラ設備から何から全て民間企業に丸投げして、価格競争させれば料金が下がるというのでは、デフレが更に進行するのみであり、経済成長には至らない。

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posted by 自由人 at 17:15 | Comment(0) | 政治
2020年09月18日

「電波利用料の値上げ」で「携帯電話料金は値下げ」されるのか?


■再燃した携帯電話料金の引き下げ案

 菅 義偉氏が総理になったことで、2年前にも騒がれた携帯電話料金の引き下げ案が再び検討されているらしい。
 総務大臣に任命された武田良太氏は携帯電話料金について「1割とかいう程度では改革にならない」 と述べ、携帯電話料金の値下げに並々ならぬ意欲を見せている。

 確か、2年前の携帯料金引き下げ案は、時期的にも消費増税のブーイングを収めるための折衷案、悪く言えば、ガス抜き案としての意味合いが強かったと記憶している。
 当時の菅氏の弁では「現在の携帯電話料金は4割下げる余地がある」という触れ込みだったので、携帯各社は実際に値下げを行った。本当にキッチリ4割値下げされたのかどうかは疑わしいが、「最大で4割安くした」ということにはなっている。

 いずれにしても、携帯電話料金の値下げは既に行われており、携帯解約料金も大幅に値下げされた。それでもまだ値下げが足りないということで、「値下げに応じない場合は電波利用料の値上げも検討する」という、ある意味、脅しとも受け取れるような発言もされている。

 この「電波利用料の値上げも検討する」という言葉を超訳すると以下のようになる。

 「携帯電話料金を下げない場合、安価で提供されている電波利用料を値上げして、あなた方の商売の利益率を引き下げますよ。安価な電波料金でこれまで通りの利益率を維持したいなら、素直に携帯電話料金を下げた方が無難ですよ。

■「大手キャリア」と「格安スマホ」の違いは保険の有無

 携帯各社にしてみれば「携帯電話料金」を下げても「電波利用料」が上がっても、どちらに転んでも利益率が下がるということで、心中穏やかではないと思われる。
 しかしながら、各携帯会社が支払っている電波利用料は、年間100〜200億円程度と言われているので、仮に電波利用料が2倍になったとしても、携帯電話料金を大幅に引き下げるよりもましということになってしまうかもしれない。
 そういう目算から、携帯各社が値下げに応じない場合も考えられるが、その場合はどうなるのだろうか? それでも無条件に電波利用料が値上げされるのであれば、携帯電話料金も便乗値上げになってしまうかもしれない。

 仮に政府のお達し通りに携帯の基本料金が値下げになったとしても、これまで不要だった各種サービス料金が値上げされることは容易に想像が付く。日本の携帯電話料金が諸外国よりも高い1つの理由は、携帯が故障した時などのトラブル相談費用等がほぼ無料(一種の保険料)というところにあるので、そういった無償サービスは削られ、携帯を修理する場合は、メンテナンス料金として別途請求されることになるのだろう。
 格安スマホ(MVNO)が安価であるのは、そういった至れり尽くせりのサービスが全く無く、スマホが壊れた時は自己責任(保険が無い)だからでもある。

■「携帯電話会社」よりも「NHK」に目を向けるべき

 しかし、政治家が「電波利用料」云々と言い出すなら、携帯電話会社よりも、むしろ、NHKの方に目を向けるべきだと思う。NHKが支払っている電波利用料は携帯電話会社よりもはるかに安く、年間25億円程度と言われている。

 料金が高いと思うなら格安スマホ(MVNO)に逃げ道が用意されている携帯電話料金よりも、受信料支払いの逃げ場がないNHKの受信料を値下げすることに注力していただいた方が、より多くの国民(特に若年者)に支持されるのではないかと思う。

 NHKに対しても同じようにこう言ってもらいたい。

 「値下げに応じない場合は電波利用料の値上げも検討する

 実際のところ、日本で総理大臣になったからといって、総理の裁量で「電波利用料」を簡単に上げ下げするほどの権限が有るとは思えないのだが、もし、それを可能にするほどの手段(権力)を持っておられるのであれば、是非、NHKの受信料の値下げも検討していただきたいと思う。



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posted by 自由人 at 22:43 | Comment(0) | 政治
2020年09月14日

自転車の初乗りで考える「自助・共助・公助」の関係性


■なぜ「自助」を否定するのか?

 大方の予想通り、菅 義偉新総裁が誕生した。

 総裁選前の「消費増税発言」も大きな騒ぎになりかけ、「今後10年間は上げない」と言い直したことで騒ぎが収まったようだが、今度は、菅氏の述べた「自助」という言葉が物議を醸しているようだ。

 菅氏が語ったことは以下の通り。

>「私の目指す社会像は、自助・共助・公助、そして絆であります。まず自分でできることは自分でやってみる。そして地域や家族で共に助け合う。その上に立って、政府がセーフティネットでお守りをする。

 これを聞く限り、ごく当たり前のことを言っているようにしか思えないのだが、なぜか、「自助」という言葉に引っ掛かっている人が結構いるらしい。彼ら曰く「国が自助を国民に押し付けるのは間違いだ」ということらしい。

 ひょっとすると、共産主義の思想には、基本的に「自助」という概念が無いということで、こういう発想になってしまうのかもしれないが、人間として生まれてこのかた、自助の精神を持たずに生きて来られた人がどれだけいるのかは甚だ疑問ではある。

■「自助の精神」を持たない子供はいない

 例えば、小さい子供の頃には、自転車に乗ろうとしても上手く乗れない。自転車の初乗り時は、何度も何度も転びながらもチャレンジしたことは誰もが経験していることだと思う。
 このチャレンジ精神こそが、他ならぬ「自助の精神」でもある。自転車に乗るのが恐いからと言って、端から誰かが運転する自転車の後部座席にタダ乗りすることが正しいなどと思うような子供はいないと思う。

 しかし、身体的な都合で自転車に乗れないという人はいる。そういった人に対して、「自助」を強制することは間違いであり、誰か(健常者)が補助しなければならない。それが、「共助」であり、そういった助け合いのシステムが「公助」である。

 以下の2つの言葉を聞いて、あなたはどう思うだろうか?

 ○「あなたは自転車を運転できるように努力してください。そうすれば、他人を乗せて運転することもできるようになります。

 ●「あなたは自転車を運転できるようになる必要はありません。他人に乗せてもらえばいいのです。

 言うまでもなく、前者は「自助の精神」を述べており、後者は「自助の否定」を述べている。

 どちらが正しいかは考えるまでもないと思う。自転車が運転できる人が誰もいなければ、乗せてもらうべき人もいなくなるのだから、後者の論理は破綻している。

 まず始めに多くの人々の「自助」が有ってこそ「共助」が成り立つ。そして「自助」と「共助」のシステムが機能してこそ「公助」が存在しうる。

 「自助」を否定して、永遠の「共助」と「公助」を求めることは不可能だ。それは、先程の簡単な例の通り、自転車を運転することを否定して、自転車に乗れるようになると言っているのと同じことだからだ。



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posted by 自由人 at 22:42 | Comment(0) | 政治
2020年08月29日

新型コロナウイルスの常識破壊【安倍総理の電撃辞任】


■「断腸の思い」の辞意表明

 安倍総理が電撃的に辞意を表明したことで日本中が揺れている。事前に前振りは有ったとはいえ、こうもアッサリと辞意を表明されたことに驚きを隠せない人も多いようだ。
 当初、17時から会見を行うと伝えられていたにも拘らず、フライング的に14時頃に報道されたので、株式市場も一時、パニック売り(または空売り)が出て急落した。

 コロナの話は冒頭の一部だけで、ほぼ、安倍総理本人の健康問題についての会見だった。病状は案の定、持病の潰瘍性大腸炎が再発したということだった。

 安倍総理本人も「断腸の思い」だと述べておられたが、いろんな意味で残念だ。首相としての連続在職日数が歴代1位になった矢先の出来事だっただけに、どこか運命的なものを感じてしまう。
 第1次安倍内閣の時も潰瘍性大腸炎の悪化を理由とした辞任だったが、その後、8年近くも無事に過ごされてきたにも拘らず、ここに来て急に再度の持病悪化。これも偶然とは思えない。「病は気から」という言葉の通り、コロナ禍による激甚なストレスが引き金になったのではないだろうか。

■「機を見るに敏」だった電撃辞任

 思えば、昨年、消費増税を決行した辺りから、安倍総理の幸運にも陰りが見え始めていたが、そこに突然、降って湧いたかのように新型コロナウイルス問題が発生し、景気が一気にダウン。消費税を上げた途端に、この上ない消費不況が訪れるというカウンターパンチのような不運に見舞われた。
 幸運の象徴とも思えた東京オリンピックの開催も、まさかの延期となり、八方塞がりで先の見えない中、ボディブローの連打のようなコロナストレスが病の悪化に繋がったのではないかと想像する。

 安倍総理の悲願だった「憲法改正」も成就することなく志半ばで退陣することは、まさに断腸の思いなのだろうけれど、今後、数年間は続くと見られるコロナ問題と安倍総理の健康面を考えると、ちょうど良い引き時だったのかもしれない。

 コロナ禍によって、憲法改正の機運も後退してしまい、来年に行われる予定の東京オリンピックも、コロナ第2波が来た時点で開催はまず不可能。このまま総理を続けても、イメージが悪くなることはあっても良くなることは無いという状況であり、晩節を汚すことになる可能性が高いため、前向きな思考ができなくなったのかもしれない。

 幸い、現在はコロナの第1波が終息しかけており、一時的に危機は和らいでいる。第2波が来る前の小休止期間が有ったことは、安倍総理にとっても幸運だったのかもしれない。

 自民党内に安倍総理の代わりが務まる人がいないような状況下で呑気なことを言っている場合ではないのだが、現在の巨大なストレスの重圧から解放されれば、心も落ち着き、病も次第に快方に向かわれるのではないかと思う。

 それにしても、これまで安倍総理を失脚させることを生業としてきた「反アベ勢力」にとっては、喜ぶ以前に梯子を外された格好となってしまったが、これから何を目的に行動するのだろうか?

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posted by 自由人 at 09:32 | Comment(0) | 政治
2020年08月09日

安倍総理の口から再び出た「リーマン・ショック」という言葉


■コロナ「第2波」はまだ来ていない

 安倍総理は8月9日、長崎で記者会見を開き、記者の質問に対して「できるかぎり再宣言を避ける取り組みを進めないといけない」と述べた。

 この発言からも推測できる通り、安倍総理は再び「緊急事態宣言」を出すことの危険性を重々承知されているようで少し安心した。これがバリバリの左翼政権だったなら、なんの躊躇もなく「緊急事態宣言」を出しているところだろうと思われる。

 この状況下で「緊急事態宣言」を出すなどというのは狂気の沙汰だが、多くの人々が恐怖心を抱いてパニックになっているこんな状況であるからこそ、合法的に国家を破壊することができてしまう危険性をこそ正しく恐れなければならない。
 「緊急事態宣言」を出すことは多くの人々の死に直結することになる危険性を大いに孕んでいる。その犠牲者数はコロナ第1波による犠牲者数を遥かに超えることは間違いない。

 現在の感染者増加は、コロナ第1波の延長でしかなく、強いて言うなら、「第1.1波」のようなものだと言える。おそらく本当の第2波が来た時には、株価チャート的に言うなら、窓を開けて感染者(症状のある感染者)が急増するはずだ。その時が本当の第2波の始まりであり、その時には現在のように無症状者の検査を行っている場合ではなくなるかもしれない。

 今の時点で「第2波」などと言っている専門家や言論人は、その時になって始めて自らの間違いに気付くことになるだろう。そして、何の責任も取らず、「第3波が来た」と言って誤魔化している姿が目に浮かぶ。

■リーマン・ショック級であるなら、早急に「消費減税」を行うべき

 ところで、同会見で安倍総理はこうも述べられている。

 「リーマン・ショックを上回る甚大な影響が見込まれている。

 かつて、「リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り消費増税を行う」と述べた安倍総理の口から、この言葉が出た意味は大きい。
 ここで注意するべきは、2度目の「緊急事態宣言」を出せばそうなるという意味ではなく、現状で既にリーマン・ショック級であり、再び、緊急事態宣言を出すとリーマン・ショック以上の惨禍になると述べられているということ。

 ということは、消費税は減税しなければ辻褄が合わないということになる。無論、8%に戻すだけでは全く足らず、最低でも5%まで、理想を言えば、3%まで戻すことがベターだと思う。

 世界中がコロナ経済対策として、大々的な金融緩和や減税を行っている状況下で、日本だけが「財政再建だ」、「緊縮財政だ」などと言っていると、またしても日本だけが失われた30年を過ごすことになりかねない。

 ヘタをすると大失業時代を迎えかねない現在の危機的状況下で、「消費税を上げなければならない」とか「消費税を下げるべきではない」などと言うのは、あまりにも見当外れな発言であり、全く現実が見えていないとしか思えない。

 その姿は恰も、狭い水槽の中に多くの金魚を入れて、水が足りないことで酸欠で息苦しくなって暴れている金魚の姿を観て、「金魚は元気に泳いでいる」と錯覚している間抜けな飼い主のようなものである。

 そのような緊縮財政論は、コロナが本当の意味で収束し、景気が良くなってから考えるのが筋というものである。

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posted by 自由人 at 23:56 | Comment(0) | 政治