■携帯電話会社の「苦肉の策」は功を奏するか?
菅総理が鳴り物入りで打ち出した携帯料金の値下げを巡って、NTTはドコモを子会社化することになり、KDDIはUQmobileを統合することになった。
両社共に、単に携帯電話料金を値下げするためだけに子会社化や統合を行ったわけではないと伝えられているが、タイミング的に考えても全く意図していないというわけではないのだろう。
あくまでも想像の域を出ない憶測だが、KDDIはUQmobileを統合すれば、格安スマホの料金システムをそのままauの料金体系に組み込むことができ、安価なコースが提供可能になる。一方で、NTTはNTTコミュニケーションズの格安スマホサービスを使用するためにドコモをNTTに吸収する必要があったのかもしれない。
いずれにしても、今後は料金体系が大きく分かれて、「安く利用したい人は、格安スマホ的なサービスを利用してください」ということになるのではないだろうか。
格安スマホを利用するためには、それなりの基礎知識も必要になってくるので、「自分で勉強するのが嫌なら高額なコースを利用するようにしてください」ということになりそうだ。
(携帯ショップの窓口にて)
ユーザー「スマホの調子が悪いので、見てもらえませんか?」
サポート「いや、お客様は低額コースをご利用されていますので、メンテナンス
サポート料金が別にかかりますが、それでもよろしいでしょうか?」
ユーザー「料金はどれ位かかるんですか?」
サポート「いや、スマホを確認してみないと何とも言えませんが、数千円から、
場合によっては数万円かかる場合もございます」
ユーザー「今まではそんな料金はかからなかったじゃないですか…」
サポート「いや、それは料金に含まれておりましたので…」
ユーザー「…じゃあ仕方ないか・・・これお願いします」
・
・
(2時間後)
・
・
サポート「お客様、お待たせしました。料金は2万円になります」
ユーザー「えっ、そんなにかかるの?!」
こんな姿が目に浮かびそうだ。
■政府が強いるべきは「価格競争」ではなく「技術競争」
携帯料金には「基本料金」と「利用料金」の2つがあるが、菅総理が言っている値下げは、どちらが対象になっているのだろうか? テレビで伝えられている話を聞く限りでは、基本料金を値下げするということになっているみたいだが、電波利用料金を言い出すなら、基本料金よりも利用料金を下げるべきではないかと思う。
通話時間やデータ量に応じて料金が細分化されている格安スマホの料金体系をそのまま適用すれば、大部分の人にとっては実質的な値下げになるのではないかと思う。ライトユーザーもヘビーユーザーも同じように安くしろと言うのは無茶であり、公平な制度とは言えない。
しかし、この超デフレ社会で、政府が携帯電話料金を下げるというミクロ経済政策を断行したとしても、携帯電話会社に入っていた利益をユーザーが分捕るというだけのゼロサム政策にしかならないので、経済は成長せず、むしろシュリンクするかもしれない。
現在のような超デフレ社会では、政府が新しい通信規格(5G)システムに必要なインフラ設備を全て提供して、その上で各携帯会社に価格競争ではなく、技術競争していただいた方が良いのではないかと思われる。
インフラ設備から何から全て民間企業に丸投げして、価格競争させれば料金が下がるというのでは、デフレが更に進行するのみであり、経済成長には至らない。
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