2022年10月15日

プロレス化しているリベラル叩きにウンザリの訳


■世界情勢を正しく見るという視点

 何年か前に「リベラル」という言葉が流行り、保守派のリベラル叩きが爽快に思われたのも束の間、現在では、日本で保守を名乗っている大部分の保守論客も、リベラル保守だったということが解るようになったので、最近の「リベラル」批判本には全く興味を抱かなくなってしまった。

 日本における保守のリベラル叩きというものは、世界情勢を正しく理解していない右寄りのリベラルが、同じく世界情勢を正しく理解していない左寄りのリベラルを批判しているプロレスのようにしか見えなくなってしまった。

 なぜ、そんな風に見えるのかというと、保守と言われている人々の認識(時計の針)が数十年前で止まったままだからとも言えるだろうか。

 最近発売されたリベラル批判本『「リベラル」の正体』(茂木 誠、朝香 豊共著)という本の中には以下のように書かれている。

強権国家(ロシア)がガーッとやってきたことに対して、なんとしてでもそれを食い止めなければいけない。「力の論理」で押し切ろうとする勢力が完全に敗北するような結果に持ち込むことが、今後の世界平和にとっても極めて重要である。中国が「力の論理」で押し切れないようにしないといけない。そのために何をするのか、という視点が彼ら(リベラル)には完全に抜け落ちているんですよね。
※( )は筆者追加


 リベラルが強権国家に対して具体的な視点を持っていないというのはその通りなのだが、残念ながら、そう述べている保守サイドも、世界情勢を正しく見るという視点が完全に抜け落ちてしまっているように思える。

 日本の保守の大部分は、現在のウクライナ戦争の火種は、2014年から始まっていることを知らないようだ。

■「力の論理」で押し切ろうとするディープステート

 ソ連崩壊直後、ゴルバチョフはブッシュ大統領との間で「NATOはドイツよりも東には進出しない」と約束していた。その約束を反故にして東側に進出(侵略)を始めたのはNATOの方であり、ロシアと隣接するウクライナにまで勢力を拡大するとなると、地政学的なリスク上、ロシア側としては黙っているわけにはいかなくなる。

 それ以前に、ウクライナでは2014年頃からネオナチ勢力が革命を装って親ロシア派の民間人を虐殺するという非人道的な活動を続けており、親ロシア派の長年のSOSにプーチンが応えた格好となっている。それゆえに、ロシア国内におけるプーチンの支持率は80%とも90%とも言われているが、日本(西側諸国)では、そういった事実は全く報道されない。

 もっと言うと、ソ連崩壊後、ディープステート(具体的にはオリガルヒ)は、国営企業を次々と民営化していき、ロシア経済を支配していった。当然、ロシア国民は大不況に陥り塗炭の苦しみを味わうことになったが、その侵略に待ったをかけたのがプーチンだった。
 プーチンはオリガルヒをロシアから追い払った英雄としてロシアでは不動を地位を獲得している。こういったことも、日本(西側諸国)では、報道されない。
 
 ウクライナ戦争において、「力の論理」で押し切ろうとする勢力というのは、ロシア(プーチン)ではなく、NATO(ディープステート)の方なのである。

 本書にはこうも書かれている。

ウクライナが降伏をするということは、ロシアの言い分を認めるということになるのだけれど、そこが理解できないんですかね。国際社会においては国家権力を超える権力は存在せず、従ってプーチンだけでなく、習近平にしろ金正恩にしろ、人権無視・強圧支配をやりたい放題やっていても、彼らを取り締まるような権限はもともと国連などには存在しないという常識が、この先生(志井委員長)には欠如していますね。
※( )は筆者追加


 逆に、ロシアが降伏するということは、ディープステートの言い分を認めることになり、ロシアが再度、侵略されることを意味する。
 国際社会において国家権力を超える権力は存在しており、人権無視・強圧支配をやりたい放題やっている。
 国連は、ディープステートの1機関であることは、世界の常識である。

 日本の保守層を批判する気はないのだが、本当に世の中を良くしたいと思っておられるのであれば、ここ数年のロシアをめぐる世界情勢ぐらいは正しく理解していただきたいものだ。

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posted by 自由人 at 22:35 | Comment(0) | 国際問題
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