2022年04月25日

『マトリックス』のエージェントになってしまった「戦後の保守」


■3重のマトリックス世界

 話題の映画『マトリックス/レザレクションズ』をようやく観た。世間の評価はそれほど高くなかったので、あまり期待はしていなかったものの、案の定、無難なシナリオであり、1作目を超える作品ではなかった。
 ただ、それでも現在の世界情勢を風刺したかのような演出は健在であり、「シープル」という言葉なども皮肉が効いていた。


 1作目の『マトリックス』を映画館で観た時は衝撃的だったが、同じ監督がシリーズ化しても、あの衝撃を超える作品は作れそうにない。
 1作目の何が衝撃的だったのかと言うと、「この世界は虚構」というテーマを前面に出して精神世界を描いたところにあり、「マトリックス」という言葉は、20年経った現在では市民権を得て「虚構世界」を意味する代名詞と化している。


 この3次元物質世界というのは、ある意味「マトリックス」のようなものであるのだが、その階下にある目に見える3次元社会の中には、別の意味での「マトリックス」社会が存在している。前者は目に見えない神秘の「マトリックス」だが、後者は人間が作ったものなので見える人には見える。しかし、その存在が意図的に隠されているため、ある一定の前提知識が無ければ、ほとんどの人には見えなくなっている。正確には「見える」と言うよりも「認識できる」と言った方が正しいのかもしれないが。

 戦後、思想的な絶海の孤島になった日本の場合は、更に日本独自のもう1つの「マトリックス」が存在しているので、日本人の場合は、都合、3重の「マトリックス」に覆われているようなものだとも言える。

■「戦前の保守」と「戦後の保守」は全くの別物

 この「マトリックス」をどこまで認識・把握できているかによって、その人物の思想は大きく違ってくる。

 「大○領選」「コ○ナ」「ウク○イナ」、この3つの禁句を含む事件は、2つ目の「マトリックス」をある程度理解している人であれば、難なくその構造を知ることができるが、日本の保守と言われている面々は、日本独自の「マトリックス」しか理解していないせいか、てんで検討外れな認識に留まっている。

 3つの「マトリックス」の第1階層が「日本マトリックス」、第2階層が「世界マトリックス」、そして第3階層が「3次元マトリックス」となる。

 日本独自の「マトリックス」とは、第2階層の「世界マトリックス」を創った支配者層が作り出したローカル「マトリックス」なので、その「日本マトリックス」に気付いたとしても、同時に「世界マトリックス」までは気付けないように仕組まれている。

 認識力が低いために1段上にある「マトリックス」に気付かないだけなのか、あるいは、第2階層の「世界マトリックス」に気付かれないようにするためのエージェント(スミス)※のような役割を担っているのか、そのどちらかだろう。

※『マトリックス』に登場する黒いスーツを着たキャラクター

 現在のマスコミは黒服の「エージェント」そのまんまだが、保守と名乗る者までが「エージェント」になってしまっているというのが現在の日本の屈折した状況。

 一応、映画『マトリックス』を観ていない人向けに説明しておくと、「エージェント」の役割は、人々に「マトリックス」の存在に気付かれないようにすること。

 戦前の保守論客達は、戦後に生まれた「日本マトリックス」は知る由もないが、「世界マトリックス」のことは十分に理解していた。それゆえに戦争に巻き込まれることに繋がったとも言える。

 「戦前の保守」と「戦後の保守」は全くの別物と思った方がよいのかもしれない。「戦前の保守」は巨悪を認識していたが、「戦後の保守」は小悪しか見えていない人が多い。

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posted by 自由人 at 21:59 | Comment(0) | 思想
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