2022年04月15日

なぜ、日本の保守は一枚岩ではないのか?


■「共産主義者」と「グローバリスト」の共通点

 この度のウクライナ問題によって、日本の保守と言われる層が一枚岩でないことが、これ以上ない形で明らかになってしまった感があるが、今回は、なぜ、そうなってしまったのかを少し考えてみたいと思う。

 何年か前に『日本の敵』という馬渕睦夫氏の本を読んだことがある。その本の対談相手は「保守の重鎮」と言われた故渡部昇一氏だった。その本の中で、渡部氏は平成25年に読んだ書物の中で最も印象深かったものが馬渕氏の『国難の正体』という本だと語り、以下のように述べられていた。

共産主義革命を推し進めようとしていた勢力と、グローバル化という究極の資本主義を推し進めようとしている勢力とが、同根であることは一般的には信じ難いこととして受け取られるであろう。しかし、根本的な共通点があるのである。共産主義者もグローバル推進者も「国境」という存在が嫌いなのだ。」(原文ママ)

 「保守の重鎮」「知の巨人」と言われた渡部昇一氏ですら、晩年までグローバリズムの本質を正しく理解されていなかったフシがある。渡部氏を含め、日本の大部分の保守は親米保守なので、基本的にアメリカを善としているため、どうしてもグローバリズムの正体を見過ごしがちになる。

 なぜアメリカを善としているかと言うと“アメリカ=自由”“アメリカ=民主主義”というシンプル過ぎる思い込みが大元にあり、戦後の日本の高度成長期にはアメリカに倣えば経済成長できるという錯覚が何の疑問もなく常識として定着してしまったことに原因を求めることができる。

 彼ら保守が最終的に行き着いた認識は、先の戦争は左翼のスパイが画策したものだったというものだが、更にその先に存在するグローバリスト(大左翼)の存在にまで触れているような保守論客は残念ながらほとんどいない。

■「グローバリズム」と「反グローバリズム」の違いを理解していない似非保守

 冷戦時、東西陣営は「西の資本主義」と「東の社会主義」というステレオタイプな認識が常態化していた。その構図はベルリンの壁の崩壊とソ連の崩壊によって崩れたかに見えたが、崩れたかのように見えて水面下では大きな変化が起こっていた。21世紀になると東西陣営の図式は「西の社会主義」と「東の保守主義」に変化していった。つまり、「グローバリズム」と「反グローバリズム」である。日本は戦前、「反グローバリズム」の中心国だったが、敗戦後は復興期を越えた辺りから、意識することなく「グローバリズム」の波に飲み込まれていった。

 西側諸国は「自由」や「民主主義」を標榜しているが、その実、本質的には全く自由などなく、民主主義的でもない。アメリカはある勢力によって人工的に作られた人工国家であり、「自由」や「民主主義」は表向きの掛け看板に過ぎない。

 ついでに言うと「国家」というものもフィクションでしかない。ホッブスは「国家権力」を「無敵の魔人」に喩えたとされるが、その魔人をも超えた化け物(比喩)が魔人を動かしているような状態。
 国家権力以上の力を持った勢力が国家の行方を全て計画して運営されている。そういう意味では、「超」が付くほどの社会主義国家だとも言える。

 「グローバリズム」と「反グローバリズム」の違いを理解していない似非保守は、「グローバリズムを礼賛するのが保守」という奇妙奇天烈な歪んだ思想を長年信奉してきたため、「反グローバリズム」こそが真の保守だということが理解できない。と言うよりも、「反グローバリズム」の立場に立つと、これまで正しいと思ってきた自らの思想が根底から崩れてしまうために、そのことを認められないという人が多いのかもしれない。

 この辺は、経済学者がMMT(現代貨幣理論)を素直に認められない事情とよく似ている。これまで絶対に間違いないと信じてきたことが間違いだったとは、立場のある人に限ってなかなか認められないのは人情というものなのだろう。

 というわけで、現在のウクライナ問題について語っているほとんどの「保守」言論人は、大きな勘違いをしている。「グローバリズム」と「反グローバリズム」の違いが解らないタイプか、自らの間違いを認めることができないタイプのどちらかだと言える。

 

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posted by 自由人 at 22:41 | Comment(0) | 思想
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