2020年12月28日

ガス抜き政策で「安値競争に笑う者は安値競争に泣く」


■コロナ禍経済では「1に需要、2に需要」

 昔、「1に雇用、2に雇用」と言っていた政治家がいたが、コロナ禍において、この台詞を述べている人がいたとすれば、誰もが違和感を感じるのではないかと思う。

 需要の大幅な低下。それがコロナ禍経済の最大の特徴である。もし、需要自体が究極的に落ち込んだ状態で、「1に雇用、2に雇用」などと連呼している人がいたとすれば、ただの経済音痴である。

 コロナ禍において言うべき言葉は、「1に需要、2に需要」でなければならない。コロナ禍でなくても、不況下にあっては、需要の増加こそが絶対的な正義となる。「需要」があってこその「雇用」であり、「雇用」があっての「需要」ではない。

 しかし、いざ「需要」を増やすと言っても、人々が何も欲しがらないような経済環境下では、おいそれと需要を増やすことはできない。多くの人々が経済活動を停止し、家の中に閉じ篭っているような生活を余儀無くされれば、一部の巣篭もりに特化した企業の商品でもない限り、個人の努力で需要を増加させるようなことは至難の業である。

 例えば、旅行業界がコロナ禍で需要を増加させるようなことは無理難題であり、どんなに血の滲むような努力をしたところで、その努力が報われる可能性は極めて近い。

 ゆえに、政府が前面に立って、経済政策を執り行う必要が生じる。今となっては悪名高い「GoToトラベルキャンペーン」も、旅行業界の需要を増加させようとする苦肉の策だった。

 個人的には「GoToトラベル」を止める必要は無かったと思うが、これだけマスコミが「コロナが、コロナが…」と煽ると、その大きな声に負けて「GoToトラベル」を中止せざるを得なくなってしまった。「GoToトラベル」が原因でコロナ感染者が増加した証拠は無くても、悪魔の証明の如く、そのことを証明せよと言ってくるようなマスコミには政治家も勝てない。

■ガス抜き政策ではなく、真に必要な政策を

 いずれにしても、こういった異常時に「需要」を作り出すのは民間には不可能に近い相談なので、政府が音頭を取って「需要」を喚起しなければならない。それを「社会主義的だ!」と批判する声もあるが、異常時には彼らが言うところの市場原理などは全く通用しないのだから、異常な状態を脱するまでの間は、政府は形振り構わずに強引にでもやるべきことをやらなければいけない。

 異常時に正常時の対応をしていては、手遅れになってしまう。有事の時に平時の対応をしている場合ではない。異常な事態が起きている時には、異常な対応をするぐらいが丁度良いのである。

 コロナ禍で出費を控えたいという国民の声があった場合、政府が行うべきは、携帯電話の料金を引き下げるようなミクロ政策ではなく、税金(消費税)そのものを下げるというマクロ政策を実行するべきだ。ガス抜き政策ではなく、真に必要な政策を実行するべきだ。

 スマホ料金を支払いたくないと言うのであれば、スマホを解約すれば利用料金は0円にできる。しかし、消費税等は、誰もそのくびきから逃れることができない。

 そもそも、スマホ料金が高くて支払えないと思っているような人なら、既に格安スマホを使用しているわけで、現在、高額な料金を支払っているユーザーは、それほど抵抗感を持っていない(=お金に困っていない)ユーザーだとも言える。
 携帯電話の料金を引き下げたところで、本当に経済的に困っている人々の生活の改善には繋がらないのである。

■需要不足下における無意味な安値競争

 昔から「一銭を笑う者は一銭に泣く」と言うが、現在の携帯電話の安値競争は、一昔前の牛丼の安値競争に通じるものがある。料金には10倍の違いがあるが、現在の月額2,980円というのは、牛丼で言えば、290円といったところだろうか。牛丼が250円辺りで採算が合わずに底を打ったように、携帯料金も安値競争合戦で2,500円程度まで下がっていくのだろうか?

 牛丼屋では、安値競争が行き過ぎて、従業員を削減し「ワンオペ」というものが社会問題化したが、携帯電話会社も今後、人件費削減等で何か問題が表面化するのかもしれない。

 楽天とNTTドコモの血で血を洗うような安値競争を観ていると、「安値競争に笑う者は安値競争に泣く」(私の造語)という言葉が思い浮かぶ。

 究極の需要不足下において無意味な安値競争をして誰が得をするのかを考え直した方が良いのではないかと思う。携帯料金を引き下げて需要が増加しないのであれば、経済が縮小するだけであり、巡り巡って、結局、誰も得をしなかったというお決まりのオチが待っている可能性が高い。そうなった場合、誰が責任を取るのだろうか?

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posted by 自由人 at 23:05 | Comment(0) | 経済
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