2020年10月28日

「エコリカ」vs「キャノン」勝敗の行方は?


■エコリカの訴えは筋が通っているか?

 インクジェットプリンターのリサイクルインクカートリッジを販売しているエコリカが、キャノンを独占禁止法違反で提訴したということで話題になっている。

 エコリカは、空になったメーカー純正品のインクカートリッジを回収して、インクを入れ直して販売している会社だが、キャノンが予告なくインクカートリッジのICチップの構造を変更したため、エコリカのリサイクルインクが使用できなくなったとして訴えている。

 エコリカの社長は以下のように述べている。

>「純正品を使うのか、安く環境にも良い再生品を使うのかというのは、私どもが決めることではなく、ユーザーが選択することだ思うんです。そのユーザーの選択肢を奪うのはどうなんだと。

 一見(一聴)、もっともらしく聞こえるのだが、訴えられたキャノン側の立場で考えると、少し筋違いなような気もする。

■プリンターメーカーの「損をして得を取る」ビジネスモデル

 現在のプリンター製造メーカーはキャノンだけでなく、その他のメーカーもプリンター本体は安価で販売して、インクやトナーで元を取る(利益を出す)という損をして得を取るビジネスモデルになっていることはよく知られている。

 高性能なプリンターを「こんなに安く買えるの?」というような破格値で販売し、逆に「高過ぎるのでは?」と思えるようなインク(トナー)を販売して利益を得ている。
 そう考えると、かつてヤフーが行ったモデムのバラマキと似ている。当時は高価だったモデムを無料で配ることで新規ユーザーを増やすというビジネスモデル。あるいは携帯電話を1円で販売し、通話料で利益を取るという、かつての携帯会社のビジネスモデルのようなものとも言える。

 このビジネスモデルの良いところは、敷居の低さだと言える。あまりプリンターを使用しない人でも、買ってみようかな…買い換えてみようかな…と思わせるところにある。1〜2万円程度でカラープリンターが手に入るなら、たまに使用するだけでもペイできると思う人は大勢いる。プリンター本体が10万円以上であれば敷居が高過ぎて跨げない人でも、敷居を思い切り下げると、大勢のユーザーをマーケットに取り込める。

■プリンターメーカーと未契約のリサイクルインク業者

 人間は欲深い生き物で、当初はプリンター本体を安く入手できたと喜んでいても、そのうち、インクが高いと思うようになる。

 そこに出現したのがリサイクルインク販売会社だった。プリンター本体を安く買えたのだから、インクも安く買いたい。そんな欲張りな人々の欲求を満足させることに成功したのがリサイクルインク販売会社だった。ある意味、これも隙間ビジネスだったと言えるのだろうか。

 しかし、問題は、リサイクルインク業者はプリンターメーカーと正式に契約を結んでいるわけではなく、マージンを支払っているわけでもないということ。そういう意味では、メーカーからは端から疎まれた存在であり、業種としても認めがたい存在であったことも間違いない。
 なんせ、自分達メーカーが築いた損をして得を取るビジネスモデルを真っ向から否定する存在でもあったので、いつ何時、今回のような手段(リサイクルインクが使用できなくなること)に出られても仕方が無いという状態だった。

■「プリンターインクの価格を下げるように」は御法度

 例えば、キャノンが専用のプリンター用紙を販売していて、その用紙よりも優れたものをリサイクルペーパー会社が販売し、キャノンがその用紙を使用できなくしたということなら、キャノンが「ユーザーの選択権」を奪っているということで、独占禁止法違反だと言うなら理解できる。
 しかし、今回の場合は、インク価格を高く設定しなければ儲けが出ないというメーカー側の事情の隙間を突いて、安価なリサイクルインクを契約無しに販売していたわけだから、「ユーザーの選択権」を奪っているというのはメーカー側からすれば受け入れがたい無理筋な訴えだと言える。

 消費者ライクなこの問題が大きな話題となると、現在の菅内閣であれば、携帯電話と同じように「プリンターインクの価格を下げるように」と言い出しそうだ。
 しかし、現在のプリンターメーカーのビジネスモデルを変更して、プリンター本体価格を上げて、インク価格を下げればどうなるだろうか? おそらく、リサイクルインク会社は縮小を余儀無くされるか、ヘタをすれば廃業に追い込まれるだろう。そしてプリンターを購入する人が激減し、更なる消費不況を招くことになる。

 政府がヘタに民間企業の経営に口出しすると碌なことにならないので、ご注意いただきたい。


------------------------------------------------------------------------------------------


スポンサーリンク




にほんブログ村 経済ブログへ
にほんブログ村
posted by 自由人 at 23:34 | Comment(0) | 経済
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]