■「早期発見・早期治療」ではなく「早期発見・早期隔離」
日本における新型コロナウイルスの死亡者数が1000人を超え、新規感染者数も同じく1000人を超えたことから、「早期発見・早期治療」を勧めている向きがある。
PCR検査を行うことで感染者を「早期発見」するというのは理屈の上では理解できるが、「早期治療」というのがよく解らない。コロナ重傷患者の1日も早い治療(対症療法)のことを「早期治療」というなら理解できるが、最も多いとされる無症状感染者を治療する方法が有るのだろうか? 他人に感染を拡げないために病院やホテルの1室に隔離することを「治療」とは呼ばない。
現状、新型コロナウイルスの特効薬は無く、治療法も確立されていないのだから、正確に言うなら、「早期発見・早期治療」ではなく、「早期発見・早期隔離」が正しい言葉の使い方だと言える。
■「日本はニューヨーク化する」ではなく「ニューヨークは日本化した」
アメリカのニューヨーク州では1日の死亡者数が最大で800人を記録したことは記憶に新しいが、その後は下がり続けて、7月11日には、遂に死亡者が0人になり、17日、19日も0人だった。
「日本はニューヨーク化する」と言っている人もいたが、現実は逆で「ニューヨークは日本化した」状態になっている。
7月11日におけるニューヨーク州のPCR検査数は62000件で、感染者数は677人と伝えられていた。この数値で陽性率を計算すると、62000÷677=1.09%になる。しかし、PCR検査の偽陽性率(陰性であるのに陽性となる確率)は1%と言われているので、専門家の言う偽陽性率が正しいのであれば、ほぼ収束していることになる。
東京の人口は1400万人、ニューヨークの人口は2000万人、東京のPCR検査数が5000件、ニューヨークのPCR検査数が60000件と考えると、人口比率的にニューヨークは東京の8倍以上のPCR検査を行っていることになる。
■PCR検査で注目すべきは「マイノリティ」ではなく「マジョリティ」
そういった理由から、「ニューヨークを見習ってPCR検査を増やすべき」という意見もあるようだ。
しかしながら、ニューヨーク州の感染者数や死亡者数が激減したことは、PCR検査とはそれほど因果関係が無いように思える。ニューヨーク州が1日に60000件のPCR検査を行ったとしても、そのペースでは全ニューヨーク市民の検査を終えるのは300日以上かかる計算になる。
結果的には数%の人々の検査を行っただけなので、それが功を奏したと考えるのはあまりにも早計だ。
ニューヨークは東京と違ってPCR検査が無料なので、同一人物が何回も検査を受けているケースも多いため、実際に検査を行った人数はもっと少なくなる。
ニューヨークではPCR検査を受けた人よりもPCR検査を受けていない人の方が何十倍も多い。注目すべきは、「PCR検査を受けていない人が大部分であるのに、なぜ収束に向かったのか?」ということであって、PCR検査を受けたマイノリティ(少数派)の方ではない。
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