■「フライト93選挙」の意味
来年(2020年)はアメリカ大統領選があり、トランプ大統領が再選するかどうかに世界中の注目が集まっている。
そんな中、来年の大統領選を占う書籍もチラホラと出版されつつあるようだが、以前から目を付けていた『トランプ「超・保守改革」』(早川俊行著)という本を読んでみた。
本書は、来年の大統領選の予想をするというような軽薄な内容の書物ではなく、アメリカの実情を知るには打ってつけの書物であり、日本ではあまりお目にかかれない赤裸裸なアメリカの実情が書かれている。前書きを読むだけで、知的好奇心を刺激される内容だが、内容の方もノンフィクションとして非常に興味深く読むことができた。
2年前(2017年)に行われた「アメリカ大統領選」は、当時、アメリカ同時多発テロでハイジャックされた飛行機名に準えて「フライト93選挙」と呼ばれた。同タイトルの論文(エッセー)には次のように書かれていたらしい。
>「コックピットに突入せよ。さもなければ死ぬ。いずれにせよ死ぬかもしれない。コックピットに入っても、操縦方法が分からないからだ。だが、飛行機を着陸させることに成功するかもしれない。その保証はない。一つだけ確かなことがある。やらなければ、間違いなく死ぬ、ということだ」
■毒(トランプ)をもって毒(左翼勢力)を制する
上記のエッセーを超訳すると、以下のようになるだろうか。
「左翼勢力にハイジャックされた政治を止めなければアメリカは終わる。仮にトランプが大統領になったとしても正しい政治を行わなければアメリカは終わるかもしれない。しかし、トランプが大統領になれば死を免れるかもしれない。一つだけ確かなことがある。それは、このまま黙って傍観していると間違いなくアメリカは終わるということだ」
日本のマスメディアでは一切報道されなかったので、当時のアメリカ大統領選がこのような切羽詰まった状況にあったことなど夢想だにしていなかった人がほとんどだろうと思う。
アメリカのメディアは元より、日本のメディアでもトランプが大統領になると言っていた人は数える程しかいなかったので、そのバックグラウンド的な実情を知っていた人など皆無に近いと思われる。
ハイジャックされた飛行機をテロリストから奪還するためには、闘争心と決断力と行動力こそが求められる。その全てを兼ね備えているかに見えたトランプ氏に一縷の望みをかけてアメリカ国民は彼に投票した。
1932年のルーズベルト政権から84年間の長きにわたり左翼勢力に乗っ取られた“アメリカ”を奪い返すために、国民はトランプ氏に賭けた。その目的は、毒(トランプ)をもって毒(左翼勢力)を制することだった。
■「グローバル化」と「グローバリズム」は異なる
米民主党が不法移民の受け入れに肯定的なのは、移民票を獲得するためというのは目からウロコだった。
トランプ大統領はグローバル化に反対しているとよく言われるが、彼が否定しているのはグローバリズムというイデオロギーであって、グローバル化ではない。
では、グローバリズムというイデオロギーとは何か?
「それは、国家が主権の一部を国家の上位に立つ超国家機構に移譲し、その国際機構が政策決定や問題解決に当たる「グローバル・ガバナンス」を目指すという考え方だ。」(「 」内 原文ママ)
では、それの何が問題なのか?
それは、「民意を反映しない組織に主権を移譲して統治させるのは、明らかに非民主的だからである。…(中略)…国家の主権は政府ではなく国民にあるというのが、米国の建国の理念である。」(「 」内 原文ママ)
アメリカの独立宣言には、すべての人が有する「生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利」は「創造主」から与えられたものだと明記されている。しかし左翼勢力の主張の基盤になっているものは「創造主」ではなく、何をやってもその人間の自由だという世俗的ヒューマニズムである。と書かれている。
■「トランプ革命」の正体
「リベラリズム」というものが、厳格な宗教戒律からの脱皮を意味する言葉である通り、現代のリベラルという存在も、自分より上の上位概念というものがスッポリ抜け落ちている人が多い…と言うよりも全員が見事なまでに無神論者となっている。これも「宗教は阿片」と言ったマルクスの影響なのだろうけれど、他人が見ていなければ好き勝手し放題で構わないという放埒の自由を信奉する日本の似非リベラルにも通底するものがある。
現代のアメリカには自虐思想が蔓延しているそうだが、自虐思想と似非リベラル思想は決して無関係ではない。
トランプ大統領の行っていることは、100年前に起こったロシア革命の裏返しでもある。1億人以上の犠牲者を出した暗黒の20世紀を終わらせるために、全世界規模のアカ狩り(リベラル狩り)を行っているというのがトランプ革命の正体なのだろう。
本書の副題「神と自由を取り戻す!」とは、左翼勢力によって消されようとしている神と、その神から与えられた本当の自由を取り戻すということを意味しているのだろうと思う。
杞憂ながらも、トランプ大統領の再選を心より願わずにはいられない。
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