2019年06月25日

「国家」の無い社会は有り得るか?


■国家を無くすことは不可能に近い

 BLOGOSのコメント欄を読んでいると、よく「自由人なのに、リベラルを批判するのはおかしい」とか、「自由人なのに、国家を肯定するのはおかしい」というような意見を目にする。

 ペンネームの「自由人」の意味は、BLOGOSのプロフィール欄を見ていただければ判る通り、「自由に考える」と書いてあるのだが、スマホでの閲覧は小さな文字なので目に入らないのかもしれない。
 「自由に考える人」が必ずしも「リベラリスト」である必要はないだろうし、「リバタリアン」である必要もないと思うのだが、意図してか、意図せずしてか、批判の矛先はいつも「自由」というキーワードに結び付いてしまうようだ。

 私もほんの一時期「リバタリアン」というものに少し惹かれたことはあったものの、現在は全く興味がなくなった。と言うか、国家を無くして個人だけで成り立つ社会というのは不可能に近いと思うに至った。

 おそらく、世の中の「リバタリアン」と言われる人々は、個人の才能だけで生きていけると思えるほどに優秀で仕事ができる人が多いのだろうと思うが、本当に国家を無くして生活できるのかをよくよく考えてみると、かなり無理があると思う。むしろ、国家というものがあるがゆえに、そのような自由過ぎる発想が出てくるのではないかとさえ思える。

■警察のいないアナーキー社会

 例えば、あなたに若い娘がいたとして、その娘が近所の暴力団に誘拐され、暴力団事務所に監禁されている場合をシミュレーションしてみよう。

 その場合、あなたがどういう行動に出るかと言えば、普通は警察に相談するだろう。単身で暴力団事務所に殴り込みに入るような漫画の主人公のような人はともかくとして、普通は「娘が暴力団に誘拐されたのでなんとかしてください」と警察に懇願するのではないだろうか。
 そして、警察官が暴力団事務所に乗り込んで、娘を奪い返してくれれば、「助かった…」ということになるだろう。

 しかし、もし国家というものが無くて、警察という組織も無ければどうなるだろうか?
 民間の警察や用心棒やパトロールはいるかもしれないが、そういった人々が本当に暴力団の事務所に乗り込んでくれる保証があるだろうか?
 多額のお金を支払えば、命の危険を冒してでも乗り込んでくれる人はいるかもしれないが、法的にその暴力団を拘束する権利も逮捕する権利も持たないのであれば、一時的に解決できたとしても、またいつ何時、暴力団に狙われるか分からない。そんなアナーキーな社会では、安心して眠ることもできないだろう。

■国家は頼りになる最強の暴力団

 ところが、国家権力をバックにした警察であれば、暴力団を拘束する権利も逮捕する権利も有しており、民間の警察と違って、多額のお金を請求されることもない。この絶対的な安心感は、どこからくるのかと言えば、偏に「国家権力」という最強の暴力団が用心棒になっているところにある。

 「国家とは人間の富を略奪する無敵の暴力団である」というのは、経済学者の故竹内靖雄氏の言葉だが、見方によってはこれほど頼りになるものはない。
【参考文献】『国家と神の資本論』(竹内靖雄著)

 ただし、「最強の暴力団」というだけあって、その組織自体が腐敗すれば、ホッブスが言った通り、手の付けられない無敵の怪獣になってしまうので、暴走しないように常に監視する必要はある。如何に頼りになる番犬でも、狂犬病ウイルスに感染すると飼い主まで傷付ける最凶に恐ろしい化け物に変化してしまう。

 上記は、あくまでも譬え話だが、トータル的に見れば、普通に生活している善良な一般人にとっては国家の存在はプラスになる場合が多いと思う。

 少し話は逸れるが、北朝鮮に誘拐(拉致)された人々(拉致被害者)を奪い返すことができないのも、ここで言うところの国家権力の役割を果たすものが存在していないからとも考えられる。それはつまり「軍隊」だ。
 日本は敗戦後の諸事情によって、自国の国防を他国(アメリカ)にアウトソース(外注)しているという世界でも稀な国だが、自前の「軍隊」を持たないアナーキーな国家だからこそ、拉致問題が発生したとも言える。

 法を犯す悪人(泥棒・暴力団・テロリストetc.)にとっては国家権力はこの上なく邪魔な存在かもしれないが、善良な一般人には国家権力は必要だと思う。
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posted by 自由人 at 22:35 | Comment(0) | 経済
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