■自傷行為としての「消費増税」
大幅な減税政策によって景気の良いアメリカと、景気が悪い状況でも消費増税を実施しようとする日本、同じ土俵に立っている先進国同士で、どうしてこうも違うのだろうか。
これまでの消費増税の実施は、以下のようになっている。
1989年 消費税3%
竹下内閣(自民党)で決定し、竹下内閣(自民党)が実施
1997年 消費税5%
村山内閣(社会党)で決定し、橋本内閣(自民党)が実施
2014年 消費税8%
野田内閣(民主党)で決定し、安倍内閣(自民党)が実施
2019年 消費税10%
野田内閣(民主党)で決定し、安倍内閣(自民党)が実施予定
こうやって見ると、自民党は貧乏くじを引かされた格好となっているが、さすがに今回の消費税10%はインパクトが大きく、自民党にとってはヘタをすると党の存続にも影響を与えかねない自傷行為とも成り得る。
なんせ、消費税を上げると景気が悪くなることが100%決定しているようなものなので、余程の景気刺激策を打たない限り、景気が良くなることは有り得ない。軽減税率で1%分の増税を相殺するというような姑息な政策では、ほとんど効き目は無いと思える。
そもそも、前回の消費増税時は、アベノミクスによって、ある程度は景気が良くなったと言われていた時代だった。そんな時であったからこそ、消費税を上げることにも正当性を感じる人もいたのではないかと思う。実際は、あまりにも時期尚早な判断だったと思うが、そう思わなかった有識者も大勢いた。
しかし今回は、明らかに景気が悪化している状況での消費増税となるので、全く正当性が感じられないことは素人目にも判ると思う。
■増税を許す“前提条件”の変化
「(景気が良い状態であれば)リーマンショック級の出来事が起こらない限り、消費税を上げる。」
それが、暗黙の約束事だったと思う。つまりは、以下の「and条件」だ。
【景気が良い】and【リーマンショック級の出来事が起こらない】
しかし、現状では次のようになっており、「and条件」ではなく「or条件」のようになっている。
「(景気が悪い状態でも)リーマンショック級の出来事が起こらない限り、消費税を上げる。」
【景気が良い】or【リーマンショック級の出来事が起こらない】
これは、あまりにも不自然ではないだろうか? なぜ、景気が悪い状態で、さらに景気が悪くなる増税政策を実施しなければならないのだろうか?
社会保障に財源が必要だと言っても、増税によって景気が大幅に落ち込めば、その財源すら失われることになり、増税とのダブルパンチを喰らい全く無意味な政策になってしまう。
■支離滅裂で本末転倒な「消費増税」
景気が良い状態であれば、増税を行っても、もしかすると、景気はそれほど悪くならないかもしれない。「リーマンショック級」以前に、景気が良いことが、唯一の増税を受け入れる前提条件ではなかったのだろうか?
その前提条件が崩れてしまったのであれば、以下のように言うべきだと思う。
「景気が悪い状態なので、リーマンショック級の出来事が起こらなくとも、消費税を上げることはできません。」
増税を行っても景気が良くなるという“希望”が全く無いのであれば、先に景気を良くすることが必要なのではないのだろうか? 景気を良くするためにはどうすればいいのか? アメリカのトランプ大統領は景気を良くするために大幅な減税を行い、結果を出している。本来なら、それを見習うのが日本が選択するべき道ではないのだろうか?
多くの国民にとっては、今年の消費増税こそが「リーマンショック級」の出来事だと言える。
景気が良かろうが悪かろうが「リーマンショック級」の出来事が起こらなければ「リーマンショック級」の消費増税を行い、その結果は確実な不景気。これでは支離滅裂であり、本末転倒と言わざるを得ない。
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