2022年06月11日

「100円ショップ」が「200円ショップ」になる日は来るか?


■スタグフレーションに至る原因

 このところの物価上昇の波は止まる所を知らず、あらゆる商品が値上げされていっている。
 この現象だけを見れば、デフレからインフレに転換したことは肌で感じられるレベルと言える。これまで何をやっても物価下落(デフレ)を止められなかった社会が、否応なくインフレに向かっている様を見る日が続いている。

 ただ、どう考えても、健全なインフレとは言えない。アメリカ等はもともと収入も物価も少しずつ上昇するという正常なインフレだったが、5%を超えるインフレとなると悪いインフレということになってしまう。

 一方、日本の場合は、インフレと言うよりも、スタグフレーションなので、ある意味、デフレよりも性質(タチ)が悪いとも言える。
 ビジネスの現場でも、様々な資材が高騰しており、これまでの遠慮はなんだったのか?というほど、値上げ交渉が盛んに行われている。

 全体的には、製造原価がいきなり10%底上げされるかのような雲行きだ。これで収入も10%上がるのであれば、インフレということになるが、おそらくそうはいかないと思われる。物価が上昇したことによって原価が上がり売上も上がったとしても、従業員の原価削減意識だけはそのまま残り、スタグフレーションを招くパターンかもしれない。

■「100円ショップ」化するブックオフ

 先日、ブックオフに立ち寄ってみると、100円コーナーで販売されている本の一部が300円になっていた。上を見てみると、「100円〜300円」コーナーになっていた。少し前に200円に値上げになったかと思いきや、今度は300円になってしまった。仕入れ原価は変わらない(?)のに、販売価格が上がるということは、売上は上がるが、従業員の給料はそのままというパターンかもしれない。

 日銀の黒田総裁の「値上げ許容」発言ではないが、社会が物価上昇が受け入れたとしても、給料上昇を受け入れない限り、スタグフレーションは避けられない。それは、デフレよりも性質(タチ)が悪いことは論を俟たない。

 この調子で物価が上昇していくと、終いには「100円ショップが200円ショップになる」と言い出す人も出てくるかもしれない。最近の円安も手伝って輸入価格も上がり、100円ではペイできない商品も出てくることは間違いない。

 ただ、100円ショップにはこれまでも200円の商品やら、300円の商品、果ては1000円の商品も陳列されていた。
 100円ショップの定義とは、最安値で販売されている商品が100円ということなので、50%以上の商品が100円で販売できないという状態にでもならない限り、100円ショップの看板が200円ショップに変わることは当面はないと思われる。しかし、100円の商品が減少していく様子はリアルタイムで目撃することになるかもしれない。

■「あの勢力」の手のひらの上で踊らされ転がされている人々

 最近は、雑誌や漫画コミックも随分高くなったので、購入することに抵抗感を持つようになった。一頃、500円以下だった雑誌やコミックが、概ね700円以上になっており、お買い得感が感じられなくなってしまった。
 それゆえに、雑誌はサブスクの楽天マガジンで読み、コミックはレンタルすることが多くなった。
 「雑誌が売れない」と言いながら、ほとんどの雑誌がサブスクサービスで読めるようになっている。サブスク料金の値上げ以上に紙代が値上げされていくのだから、出版業界としては、自分で自分の首を絞めているようなものであり、まさに悪循環と言うしかない。

 そういった悪循環が嵩んだ結果、原価を最大限に抑えることができる中古市場に消費者は向かうことになった。物価が高騰しても、高価な商品に手を出すわけではなく、より安価な商品ばかりに目が行くようになる。商品の値段がインフレ化しても、人間の精神はどんどんデフレ化していくといった状況には全く変化がない。

 最後に、今回の物価上昇の波を演出しているのは、参政党の言葉を借りると、いつもの「あの勢力」だが、多くの人々は彼らの手のひらの上で踊らされ転がされていることにも気が付かない。

 「急がば回れ」、現代社会における悪循環から真に抜け出すためには、「あの勢力」が何を考えているのかを知ることが最も近道なのかもしれない。

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posted by 自由人 at 08:25 | Comment(0) | 経済