2020年05月10日

「PCR全頭検査」は必要なのか?


■無理が有り過ぎる「PCR全頭検査」

 世間では、「PCR検査を全国民に適用するべき」という意見が出回っており、そうすることで感染者数を減少させることができるとも謳われている。
 まるで、「BSE全頭検査」のようなイメージが浮かんでしまうが、これについては、賛否が分かれており、軽いタッチの神学論争となっているようだ。

 目下のところ、PCR検査の精度(信頼性)はそれほど高いとは言えず、最高でも70%の精度だと言われている。具体的に言えば、3人検査をすると1人に間違った診断が下されることになる。これでは、お世辞にも信頼のおける検査とは言えない。

 そんな検査を国民全員に課すべきというのは、前回の都知事選で鳥越俊太郎氏が選挙公約として掲げていた「がん検診100%」とどこか似ているような気がする。今年の都知事選でも「PCR検査100%」を掲げるような立候補者が出てくるのだろうか。

 医療費的なことを考えても、国民全員にPCR検査を行うとなると膨大な医療費がかかることになる。この際、医療費の問題は度外視するにしても、現実的に全員にPCR検査をするというのは無理が有り過ぎると思える。

■「老人は病院に近寄らず」が最適解

 同日、同時刻に1億人の検査が同時にできるのであれば、感染者の70%は把握できるが、それでも30%(3000万人)の取りこぼしがあるので、あまり意味があるとは思えない。
 現在の日本全国の感染者数は1万5000人程度なので、仮に隠れ感染者がその10倍いるとすると、15万人程度が感染者ということになる。ということは、(1億人ー15万人=)9985万人が未感染者という計算になる。

 1億人中、9985万人(全体の99.85%)が不必要な検査、そう考えるとトンデモなく無駄な検査とも言えるが、その15万人の感染者を検査しても、5万人程は誤判定となる。
 その誤判定というものは、陽性が陰性なのか、陰性が陽性なのか、これすら判らない。陽性が陰性と診断されて“自分は感染していない”と思い込むことも危険だし、陰性が陽性だと診断されて感染者が大勢いる病院に入院させられるのも危険極まりない。

 これが致死率100%のウイルスということなら、非現実的な全頭検査も有効かもしれないが、今のところ、感染者数も死亡者数もケタ違いに低く抑えられている日本では、それほど効果は期待できそうにない。

 況して、高齢者が病院に行って検査しなければならないということになれば、それこそ、最も危険な3密破りになってしまうので、逆に全国の病院でクラスターが発生して感染者が急増する可能性も否定できない。

 とにかく、今は、何の症状もない高齢者はなるべく自宅にいるべきであり、不要不急の用事で病院に行くべきではない。感染者が病院に行ってPCR検査をすることには問題がないが、非感染者が病院に行ってPCR検査を受けても、それで感染するリスクが下がるわけではなく、逆に感染するリスクが上がるだけだ。

 「君子危うきに近寄らず」と同じように「老人は病院に近寄らず」が、現状、最も有効な感染防止策だと言える。
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posted by 自由人 at 09:17 | Comment(0) | コロナ問題